1998.06/11 二十七日目
「KAORU」、「KAEDE」、「Shanty」
 「ブリテイン」東の森。

 そこで、ひとりの女が斧を片手に、「木こり」にせいを出していた。
 彼女の名は、「KAEDE-BlueRose」。

 まだ、この地で活動するようになって日が浅いせいか、その作業は、遅々としたものだった。
 生まれ持った「裁縫」と「弓矢作り」の才能を活かす。
 衣類を制作して金を稼ぎ。
 「伐採」で手に入れた木材を「弓矢作り」で、弓と矢を制作していく。

 しかし、さきほどから何度やっても、「ヘビークロスボウ」の制作に失敗している。

「普通のお店で買えるモノより、良質なモノを作れる可能性があるって聞いたいたんだけど。
 なかなか、思うようにはいかないものね……」

 ふう、と溜め息をついて、今度はノコギリを手にして、「大工」仕事に汗を流す。
 彼女が作り出すのは、種々様々な家具……ではなく、大量の木箱のみ。

 大量の矢と木箱。
 それは全て、姉の「KAORU」のために……。


 また、もうひとりの女が居た。
 彼女が居るのは、「KAORU」が建てた、小さな家。
 背後にテントを据え付けた、風変わりな家だ。

 彼女の名は、「Shanty」。
 「魔術」と、「書写」(スクロール作成)の才能に恵まれた女。

 「書写」スキルでもって作り出せる魔法の巻物は。
 「魔術」スキルの乏しいモノでも、たやすく魔法が行使することができる。
 そのため、「魔術」の苦手な者の需要は高く。
 また、ただでさえ、成功確率の低い高レベルの魔法の「巻物」は、上級者からも需要が高い。

 彼女は、「KAORU」の家にある椅子に座って、チマチマと「書写」作業に勤しむ。

「この『リコールスクロール』は、魔術の心得の乏しい、「KAEDE」さんのために。
 あ、あと、「KAORU」さんの魔法書に、新しい呪文を書き込んでおかなければいけませんね……」

 そうやって、彼女は次々と、巻物を生み出していく。
 その合間合間に、「アイテム鑑定」などのスキルの鍛錬。
 また、ごりごり……とぽぽ……と、「錬金術」によるポーション作りに励む。


 そして、「KAORU」。

 妹の「KAEDE」が調達してくれた「矢」と「木箱」。
 それに、居候(笑)の「Shanty」が作り出した「HP回復薬」と「毒消し」のポーション複数を手に。

 単身、ダンジョン「ディスパイス」への探索に乗り出す……。

 木箱を利用して、群がり寄る敵たちを弓矢で屠る。
 「弓矢」スキルは、そろそろ 90に達しようとしている。

 また、矢を消費するのも惜しいと思える弱小相手には、「死刑執行人の斧(首切り斧)」で切り倒す。
 「剣術」スキルも 70近くになり、そこそこに使える戦法になってきている。

 傷ついた身体は、「ヒール」や「グレーターヒール」で回復し。
 毒は「キュアー」で癒す。
 洞窟の闇は「ナイトサイト」で克服し。
 強敵相手に接近戦を挑む場合は、「リアクティブアーマー」の防御魔法でもって負担を軽くする。
 そして、遠距離テレポート「リコール」でもって、移動を短時間かつ安全に済まし、窮地も切り抜ける。

 そんなこんなで、「魔術」スキルは 55程度にまで成長していた。

 初級ダンジョンにして、実入りが少ないのでPKが居ないと言われる「ディスパイス」。
 地上二階?、地下一階の領域において、油断さえしなければ、「KAORU」の敵は存在しなくなっていた。
 「大蛇」さえも一対一なら、魔法を怠らない限り、直接戦闘でも勝てる相手になっていた。


 いままで、「KAORU」自身にやらせていた、「矢」作りと「木箱」作りを「KAEDE」に任せることで、「KAORU」の主要スキルを重点的に上昇させることが出来る。
 そしてなおかつ、「KAORU」には手が出せなかった「巻物」「ポーション」制作を「Shanty」に行わせ、「KAORU」の冒険をアイテムで助ける。

 「KAEDE」と「Shanty」の支えが、「KAORU」を確実に強くしていく……!

 なかなか、ナイスな役割分担。
 いずれは、「KAEDE」と「Shanty」も、その筋のエキスパートになるだろう。

 そう、いずれは……。


 一戸建てのお尻に建設している、青いテント。
 そのテントの宝箱には、「KAORU」、「KAEDE」、「Shanty」の共同資金が納められていた。

 共同資金を確認して、「KAORU」は眉をしかめる。
 数千GPあったお金が、いまでは数百GPにまで落ち込んでいたのだ。

Shanty「ああ、それなら……」

 そう言って「Shanty」は、部屋の中に無造作に置かれている、秘薬(魔法を使うための触媒)用の木箱を示した。

Shanty「ブリテインに行ったら、ブラッドモスが最低価格の 5GPで売っていたので、買い占めて来てしまいました」
KAORU「……いくつ?」
Shanty「500とちょっと……でしたでしょうか?」

 無邪気な微笑みを浮かべる、「Shanty」。
 単純計算、2500GP……。

KAEDE「姉さん、良いモノ買ってきたよ!」

 いさんで、家に帰ってきたのは、「KAORU」の妹(という設定)の「KAEDE」だ。
 胸に、みっつの「ヘビークロスボウ」を抱え持っている。

KAEDE「PCのお店で、魔法の掛かった「ヘビークロスボウ」が合ったんだ! みっつもあったんだよー」
KAORU「……いくらだったの?」
KAEDE「うんとね、合計1800GP」

 テヘッと舌を出して笑う、「KAEDE」。

 「KAORU」の銀行に預けてあるお金は、確か 5000GP程度。
 まずい、非常にまずい。
 かつてのじり貧生活が、「KAORU」の脳裏をよぎる。

KAORU「ええええいっ、鬼稼ぎモード発動だ〜っ!
     KAEDEは、皮買い占めて、革製品でお金稼ぎをしてきなさい!
     Shantyは、KAEDEのために、「リコールスクロール」を大量生産して!」
Shanty「大量って、具体的にいくつくらいですの?」
KAORU「ブランクスクロールが、あるだけ全部っ!」
Shanty「それは無理ですわ」
KAORU「……どうして?」
Shanty「だって、リコールスクロールを作るのに必要な秘薬、ブラックパールが、もうほとんど残っていないんですもの」

 「ブラックパール」……。
 六つある秘薬の中で、一番値段が高く、また、常に品薄状態にあるモノだ……。

KAEDE「う〜ん、困った。じゃあ、ブリテインで、皮入荷待ち、しようか? この時間、皮泥棒に出くわす確率高いけど……」

 困ったね……と、溜め息をつく「KAEDE」と「Shanty」。
 そのふたりを余所に、おもむろに、「KAORU」は冒険に出向くための支度を始める。

KAEDE「姉さん、どこに行くつもり?」
KAORU「……コブトス」
Shanty「えええっ!? この時間は、PK遭遇率、100パーセントですわっ!」
KAORU「……でも、あそこに巣くってるコープサーを一、二時間倒していれば、良いお金になる……」
KAEDE「この前、何度もPKに遭遇して、もう行かないって行ってたじゃないっ」
KAORU「……PKに会ったら、リコールして逃げれば良いモノ」
Shanty「そう毎度毎度、うまく行くとは限りませんわっ」

KAORU「ええいっ、うるさああいっ! 私たちには、お金が必要なのよおおおおお〜(涙)」

 『UO』ってヤツは……。
 冒険をする限り、一生、お金が必要なゲームだなあ……(泣笑)。


1998.06/12 二十八日目
「ディスパイス」に集う者たち
 「ディスパイス」へは、リコールの魔法で瞬間移動していることにしています。
 時間短縮……だけではなく。
 いくらPKが居ない……とは言っても、用心に越したことはないのです。
 ダンジョン出入り口に待ち伏せが居ないかと警戒するのは、少々疲れますし……。

 ……ので。
 ダンジョンの、あまり人がたむろしないような場所にてマークルーンを作成し。
 それを銀行の貸金庫に入れたまま、リコール。

 ……毎度ながら、ダンジョンへリコールする瞬間は、ひどく緊張します。
 ダンジョンの隅っこへのルーンであるから、まず PKの心配は無い。
 しかし……敵が辺りにひしめいており、一気に囲まれたことが数回あったのです。

 四方八方から囲まれては、いくら熟練の戦士でも、たまりません。
 ましてや、弓メインの「KAORU」では……。

 リコール到着地点に群がる敵を。
 テレポートでもって、別の場所に引きつけ。
 一度、街に戻ってから、再度同じ場所へリコールイン。

 さっき、別の場所に引きつけた敵たちがこちらに近寄ってくる前に、素早く、木箱でバリケードを作成。
 難敵をまずヘビークロスボウで屠り、弱敵はバリケードを崩して、死刑執行人の斧でもって直接斬り捨てる。

 「ディスパイス」……。
 最近では、地上二階、地下一階部分を探索し終え、そろそろ地下二階へと赴くつもりでいます。
 なんでも、地下二階には、アースエレメンタルやウォーターエレメンタル、それにリッチなど、かなり手強いモンスターが巣くっているらしいです。
 地下二階へと赴くには、かなりの準備が必要でしょう……。


 まあ、なにはともあれ。
 今回は、この「ディスパイス」で出会った出来事を、ふたつほど紹介しようと思います。


 その男を見た時、あまりに身軽な装備に、目を疑った。
 どう見ても、普通の衣服しか着ていないように思える。

 いつものように、木箱バリケードでもって、多数の敵と戦っている最中でした。
 なんだコイツぅ〜……と警戒していると、彼はおもむろに竪琴を奏で始めたのです(竪琴じゃなかったかも?(^^;)

 すると、どうでしょう!
 木箱の向こうに居たモンスターや動物たちが、同士討ち?を始めたのです。

 おお、これが噂の、バードスキルの「扇動」か……!
 主にNPCたちを扇動し、互いに戦闘させるというスキル。

 目の前に居た敵たちが、見る見る傷つき、倒れていったのです。

 すごい、こんな技能もあるんだなあ……。
 そう感心することしばし。

 ただ……。
 「スウェーラット」という、滅茶苦茶弱いネズミに追い回され。
 挙げ句、そのネズミに対して「ライトニング」の魔法を使って屠るという……。
 「スウェーラット」は、私なら一撃で粉砕できる小動物です。

「damn!」(畜生っ!)
 と言って、HPを回復させる彼の姿に、悪いけど笑ってしまいました(笑)。


 つぎの話は……。

 まず、見たとき、やっぱり自分の目を疑いました。
 先の、バードよりも。

 なにせ、彼の顔が、なにやら小鬼のように見えたからです。
 黒いローブに、ポツンと浮かぶ、邪悪そうな顔。

 な、ななななんだコイツはあああああ〜っ。

 慌てて、手に持った武器をバックパックに納め、いつでも「リコール」で逃亡できるように準備する。
 そして、そのPCをダブルクリックして、彼の装備をキッチリと確認する。
 やはり、どうみても、小鬼のような顔……。

 な、なにこれ……?
 と思いつつ、その顔をクリックしてみると……。

「オークマスク」

 『UO』には、なかなか面白いかぶり物があるのですが……これもそのヒトツなのでしょう。
 その邪悪っぷりに、思わず欲しくなることしばし(笑)。

 でまあ、やっぱりこの男も、私のほうに歩み寄ってきたのです。

「ヘイ、こいつらは全部、オレの友だちさっ!!」
 とか、そんなことを言ったんだと思います。

 そして、彼はおもむろに「動物調教」開始。
 木箱バリケードの向こうに群がり寄っていたモンスター、動物たちが、見る見る彼のペットになっていったのです。

 彼の行く後には。
 ペット化し、自発的には攻撃しなくなったモンスターや動物たちが、所在なげに立ち尽くしていました。
 主人の命令を待ち、ただじっと立ち尽くす彼ら。
 一方の主人は、ただ、「調教」スキルを磨くためにペットにしたのであって、飼うつもりなどさらさらありません(^^;

 まあ、このおかげで、大量の敵たちに囲まれることはなくなったものの……。
 青Nameのモンスターや動物たちがあちこちに居て倒せないので、収入が激減です(笑)。


 『UO』って、ホントに色々なスキルがあるんですよね……。
 「KAORU」を器用貧乏にさせるわけにはいきませんが、別のキャラクターで、これから色々、遊んでみようと思います。


1998.06/13〜16 二十九〜三十二日目
新評判システム、そして、魔の三日間
 さあ、続きをやろうっ……!

 そう思って、いつものようにログインしたら。
 そこは、見慣れたブリテインの宿でも、自宅でもありません。

 こ、ここはどこ……?
 街中であることは確かですが……。
 街中に、突如ログインした「KAORU」は、しばらく呆然とすることになったのです。


 『UO』のデータは、30分毎にセーブされているそうです。
 といっても、ごく普通のRPGのように、リセットなどは無く(笑)。

 たとえ、『UO』を強制終了させても、たとえパソコンがハングしても、PCは、『UO』の世界に留まるのです。

 ですので、『UO』をプレイしていて、強制終了の憂き目に合い。
 慌てて再ログインしてみると、身ぐるみが剥がされていた……ということがありえます。
 ダンジョンや戦闘中に、強制終了やハングに出会ったら……(^^;

 要するに、無防備なまま、その世界に居続けることになるのです。
 ただし、プレイヤーがなにも行動を起こさなかった場合、五分後に自動でログアウトを行われ、PCは『UO』の世界から、一時姿を消すことになるそうです。

 他に、安全なログアウト方法として。
 宿屋のベッド近くで、「LOG OUT」を選択する。
 もしくは、家の中で、その家の鍵を持ったまま「LOG OUT」を選択する。
 これらが、代表的な方法だと思います。

 でまあ、リアルタイムで、30分毎に全てのデータが、サーバーにセーブ……。
 というか、バックアップを取る……ということだそうです。

 ここで、ひとつ問題が。

 サーバーダウンなどで、『UO』の世界毎 強制終了されてしまった場合。
 データは、前回セーブした時点に、戻されてしまうんですよね。
 というか、データは逐一バックアップされているわけではないので、サーバーダウンなどに出くわしたら、現在進行形のデータは露と消える……ということです。


 でまあ。
 「KAORU」が街中に突如出現したのは……。
 この、サーバーダウンのせいなのでしょう。
 30分毎の定期バックアップの時点に戻された……ということです。

 こういうことに出くわしたのは、06月12日の時点までに、二、三回しかありませんでした。

 しかし……。
 06月12日夜から、06月15日の深夜までの期間。
 このサーバーダウンが頻繁に起こったのです。

 この三日間……。
 頻繁にサーバーがダウンし。
 サーバーデータの送受信が滞り、幾度となくラグ(データの送受信の遅延により、ゲームが思うように進行しなくなること……だと思います(^^;)が発生し。
 データは戻され。
 さあ、続きをやろう……と思っても、サーバーがダウンしていて『UO』をプレイできない……。
 かと思えば、『UO』全世界の住人が凍り付き、一歩たりとも身動きできないような、深刻なバグにさらされたこともあったのです。


 ちょうど、12日の昼間……だったでしょうか。
 『UO』は、頻繁にバージョンアップされることで有名です。
 そして、この12日に、大規模?なバージョンアップがあったんですよね。

 なんどか、『UO』の軸となっている「評判システム」のことを書いてきました。
 でまあこの「評判システム」が、ガラリと変わったんですよね。
 著しく(笑)。

 詳しく書いてしまうと、キリがないので。
 簡潔に言うならば……。

 悪人が街で生活しずらくなり。
 善人が、悪人に対抗しやすくなった。

 といったところでしょうか。

 街中での戦闘も可能となり。
 スリや殺人に手を染めた犯罪者たちは、その当事者たちに攻撃され、逃げまどう……。
 当事者同士の争いに、無敵のGuard様は、見て見ぬフリです。

 複雑ではあるものの、なかなか面白い「評判システム」だと思います。
 ただ……。

 街中でも、命の危険にさらされる可能性があること。
 また、評判を得ていっても、これといったメリットがなくなったこと(以前は恐ろしく役に立った、二対の「盾」が、もらえなくなった)。
 それと、いまひとつPKが判断しにくいということ……です。

 この新しい「評判システム」に置いて、良い評判を得るということに、ほとんどメリットがありません。
 ですので、標準より上程度の評判を維持していれば、大丈夫だと思うんですよね。

 であるからして……。
 青Nameのまま、悪事を働いてる輩に、少しばかり鉄槌を下しても、構わないと思うんですよ(++
 あ、あくまで鉄槌……であって。
 殺害するのは、止めておいた方が良いと思いますよ〜。
 ……殺人者は、訴えられちゃいますからね(笑)。


 そんでもって。
 新しい「評判システム」の導入が、新たなバグや、データ書き換えで『UO』の各サーバーに負担を掛け。
 この魔の三日間を生み出すことになったのだと、思えます。


1998.06/17 三十三日目
『UO』仲間。「Kotaro」さん、家建設(^^
 そうか……。
 もう、『UO』をプレイしはじめて、一月以上が経っているんですね。

 でもいまだ、飽きる気配はありません。
 以前はまっていた、ネットRPG『LIFE STORM』よりも、強く、深く。

 まだまだ、楽しみたいことがあります。

 全ての土地を歩いて回りたいし。
 全てのダンジョンを制覇してみたいし。
 いまだ、やったことのない、数多のスキルを、楽しんでみたい。
 強くなったら、PKと戦ってみるつもりですし。
 また、再会を約束したまま、出会えずにいる人たちも居ます。

 確かに、『UO』自体、ゲームとして面白いと思います。

 しかし、ここまでハマっているのは……。
 やはり、仲間が居たからでしょう(^^

 お金を貯めること。
 スキルを上げること。

 これはいずれ、仲間と一緒に冒険した時、自分の力で活躍したいため。
 手助けしたいため。

 お金を貯めまくって家を建てるのは。
 安住の地を手に入れるという、満足感。
 それと、仲間への、ちょっぴりの優越感(^^;
 また、仲間を家に招くというのも、とってもすてきだと思えます。

 スキルを上げるということは。
 これからの冒険に役立てるため。
 そしてまた、そのスキルでもって、仲間たちに貢献するため。
 自分の作ったアイテムを、仲間が役立ててくれると言うのは、とても嬉しいことです。

 自分の修練、行動が、仲間たちを意識してのことだから。
 仲間が居たからこそ、ズッポシはまれたわけで。

 同時期に、多数の人たちと、『UO』を始めることが出来て、とっても良かったと思います。

 もし、『UO』仲間が居ないというかたは。
 どこかのギルドに入会し、仲間を作ることを、強くお薦めします。


 でまあ、この日。
 『LS』時代からの仲間である「Kotaro」さんが、『UO』世界で、家を建てることになりました。

 前々から、家を建てたいと言っていて。
 また、裁縫においては、私の先輩にもあたります。

 やっぱり、私と同じように皮製品でもってお金稼ぎをして。
 皮泥棒に怯え、盗られては憤り。

 ダンジョン探索や森に狩りへ行って、お金を貯め。

 ついに、テントと一戸建てを購入したのです(^^

 ちょうどこの時。
 真っ昼間から、『UO』and「IRCチャット」(笑)。
 「IRCチャット」のメンバーは、私、「Kotaro」さん、「Kasia(またはKasiwa)」さん。
(※「Kasia」さんとは、『UO』でもってお近づきになりましたが、『LS』時代、一度出会っていて……。
 それを、「Kasia」さんが覚えていてくれて、この『UO』関係の「IRC」で再会。
 といっても、『LS』時代では少しチャットをしたぐらいだったのですが、それを覚えていてくれたことが、非常に嬉しかったですね(^^)

 でまあ、チャットしつつ、『UO』しつつ、「Kotaro」さんが家を建てている様子がわかったのですが……。

 ここでトラブル発生。

 「Kotaro」さんは、私や「TETU」さんと同じく、一戸建てのお尻にテントを付けるという、”カタツムリ建築”(勝手に命名(笑))です。
 そいでもって、それができそうな土地を見つけていたらしく。
 とりあえず、テントを設置。

 さて、一戸建てでもって、テントの入口を塞ごう……。

 と思ったのですが、一戸建てを建設することができません!
 何度やっても、駄目だ……ということ。
 どうやら、少しばかり坂になっているから、建てられないみたいだ……。
 そう、「Kotaro」さんは、チャットで言いました。

 ということは、”カタツムリ建築”が出来ず、テントを無駄に建設してしまったことになります。
 建てる前の、建築証書には戻せません。

 テントの価格は、二万GP前後。
 これだけ貯めるのに、どれだけの苦労が必要でしょうか?
 どれだけの時間と、どれだけのダブルクリックと、どれだけの「Vendor sell」を繰り返したことでしょう?

 駄目でもともと……と。
 私は、「Kotaro」さんの居る場所へ「リコール」。

 やっぱり、ちょっと坂になっているように見えました。
 そして、私が一戸建ての建築証書を受け取り、何度も建築しようとしてみましたが……出来ません。

 しばらく、途方に暮れる「Kotaro」さんと私。

 諦めよう……という話になり。
 最後に、もう一度だけ……。
 そう言って、私が建築証書を受け取り、駄目でもともと。
 いままでよりも、ちょっと、東側にずらして設置しようと試みたら……。

 これが、成功!!
 見事、家が建ち、いわば”カタツムリ”状態を形成!

 いやもう、ホントに、嬉しかったです。
 安堵しました。
 我が事のように、感動しました。

 その後、仕事でいち早く私がログアウトしたのですが。
 電車に揺られながら、感動がじわじわと押し寄せてきました。

 良かったね、「Kotaro」さんっ!(^^
 ……これに感謝して、うちの「KAORU」に、あんまりセクハラしないでね(笑)。

 ちなみに。
 「Kotaro」さんがマークルーンの受け渡しを間違え、家主本人よりも早く、新居に入ってしまいました。

 記念すべき第一歩が……(笑)。


 なにはともあれ。
 本当に、おめでとうっ!(^^

(また、これから家を建築しようという人。
 私に相談してくれれば、その土地にちゃんと建てられるかどうか、調べてあげますよん(^^)


1998.06/18 三十四日目
四人目の住居人。そして、『UO』の食生活
 ”カタツムリ建築”(勝手に命名)の、「KAORU邸」。
 この日、新たな入居者が現れた。

 屈強な肉体を持つ男。
 壮年に入った辺りか。
 たくわえた髭は、美しく刈り込まれている。

 生まれ持っての、「鍛冶」と「採掘」の能力を活かし。
 「KAORU」たちをサポートするために生みだされたキャラクターだ。

 ……彼の名を、いま、ここで明かすことはできない。

 「KAORU」、「KAEDE」、「Shanty」ではできない汚れ仕事を、彼が引き受けることになるかもしれないからだ。
 汚れ仕事……青Nameのまま、卑怯者な行為を繰り返す者たちに、鉄槌を下すということ……。
 彼の名は、赤く染まることになるのかもしれない。

 だからここでは、彼の名を、仮に「 K 」と呼称することにする。

 まあ、単なる鍛冶キャラクターで終わる可能性の方が高いのだが……(苦笑)。
 戦闘系に育て上げている「KAORU」とは別に、もうひとり戦闘系を育てるとなると、かなり時間が掛かるからだ。


 ……ってえことで。
 四人目の住居人を作成しました。

 重点的に育成する……とか、そんなことはしないで。
 息抜き気分で、気の向くままに、育成していこうと思います。

 きっと、二日か三日に合計二時間くらいしか、彼ではプレイしませんでしょう(^^;

 「鍛冶」は、『UO』の中でもトップクラスに位置する、重要なスキルです。
 様々な武器、防具を作り出し。
 腕さえ良ければ、普通の店で買うよりも高性能なモノを作り出すことが出来る。
 また、傷ついた武具を修理し、攻撃力、防御力を回復させることもできるのです。
(修理といっても、完全に元の状態に戻せないところなんて、リアルで良いですね〜(^^)

 でまあ、人気もあるスキルなので。
 これがまた、なかなか上達しません。
 何十時間、下手したら百時間以上使わなければ、最高レベルにまで達し得ないと思います。

 この「 K 」で、そんな鍛冶スキルを極めようなどとは、まったく考えておりませんです。
 腕は未熟なりに、そこそこ良い物も作れるし。
 なにより、武具を修理できるのが魅力です。

 スキル100の、グランドマスタークラスの修理と違って、かなり傷つくことになりますが。
 この日、「KAORU」が装備している「急揃えプレートメイル」(笑)と、愛用している「ヘビークロスボウ」、「首斬り斧」を修理させました。
(「急揃えプレートメイル」……。
 以前記した、ダンジョン「ディスパイス」で大蛇に殺され、「ブリテイン」の武器屋で、急いで購入したプレートメイル。
 そのため、各パーツのカラーがちぐはぐなアレです(笑)。
 なんとなく、売ってしまうのが惜しくて、いまだに使用しています)

 するとまあ、どうでしょう!
 いままで倒すのに苦労していた各モンスターが、サクサク倒せます!
 っていうか、”なまくら”になってたんですね(笑)。

 プレートメイルのARも回復し、敵からのダメージがかなり軽減されているように思えます。

 ううむ、鍛冶スキル、偉大なり……。

 本当に大切な武具を使うようになったら。
 さすがに、未熟な「 K 」には任せず、知り合いの鍛冶屋さんに修理を頼むとするとして。
 それほど強力な物ではない武具は、「 K 」でもって、こまめに修理させるつもりです(^^

 それに、お遊び、息抜きのつもりでプレイしてみたのですが。
 これが結構、儲かります(笑)。


 話はまったく変えて……。
 『UO』での食生活の話を。

 『UO』では別に、飲食をせずとも、餓死するようなことはありません。
 そのため、軽く見られがちなのですが……どっこい、これがなかなか、馬鹿にはできないのです。

 なにも食べずに、腹を空かしている状態と(別段、お腹が減ってる……とかいう表示はされません)。
 定期的に食料をとっている者、あるいは、ついさきほど、大量の食料をとった者とでは。

 あきらかに、物事の成功率が変わってくるのです。
 各種スキル。
 ……いわば、あなたが取るほとんどの行動が、あなたの腹加減によって、変わってくるのです。

 剣や斧を振るうこと。
 魔法を使うこと。
 裁縫をすること、鍛冶をすること、木こりをすること……。

 常に満腹状態……というのは、面倒でしょうし、お金もかかりますが。
 ここぞという時に、手持ちの食料をとって満腹状態になると、成功率がグンと上昇しますでしょう。

 いやはや……これが本当に、目に見えて違って来るんですよね(^^;
 そういうこともあって、最近は、食料を常に携帯するように心掛けてます。

 でも、この食料全てを店から購入し続けていたら、恐ろしくお金が掛かることでしょう。

 そんでもって。

 「KAEDE」が、急遽、「クッキング」スキル……。
 そう、「料理」スキルに手を出すことにしたのです。

 ブリテインにただ一軒だけある、パン屋さん。
 そこに居た店員にお金を払って、「料理」スキルをある程度教わり(一気に 30まで上昇)。
 その店員から、パン粉と、水入れを購入。

 水は、馬小屋の軒先に配置された、水飲み場(馬が、首を突っ込んで飲むような感じの、長方形の箱に、水が満ちている)で手にれる。
 ……う〜ん、衛生面は大丈夫なんでしょうか?(^^;
 ちょっと心配。

 なにはともあれ。
 この水飲み場で、水入れを満たし。
 パン粉を、練る。練る。練る……。

 おお、たった 3GPで買えるパン粉(いや、小麦粉だったっけかな?)から、パン生地が 20個も作れるっ!
 いままで、パン一個 6〜7GP出して買っていたのですが、それが恐ろしいほど無駄であることに気づかされました。

 さあ、焼くぞ〜っ!
 と、パン屋にとってかえし、オーブンの前に陣取り、パン焼きに挑戦……!
 20個あったパン生地のほとんどが、炭と消えました(笑)。

 まあでも、「料理」スキルは、あまり使われていないせいか。
 ガンガン、スキルアップ(笑)。
 おまけに、能力値もズンズン上昇。

 繰り返すウチに、パン焼きの成功率も上昇していったのです。
 でまあ、大量に焼いたパンを、お家に持ち帰る「KAEDE」。

 家の一スペースを、大量のパンが陣取る(笑)。

KAORU「……パン、だけ?」

 同じ種類のパンが、累々と積もる様に、「KAORU」は呆然と呟く。

KAEDE「あ、Kasiaさんから売ってもらった、お肉を焼いてきてあるよ」

 ニコニコと微笑み、「焼き肉」をドンっと置く「KAEDE」。
 「Kasia」さんから格安で売ってもらった、160個くらいの「肉片」を、オーブンで「焼き肉」にしたのです。
 これまた、半分以上が炭と化していました(笑)。

KAORU「……これ、なんの肉?」
KAEDE「わかんない。Kasiaさんも、人からもらったものなんだって」
KAORU「………」
KAEDE「お肉なんて、焼いちゃえばみんな一緒だよ。牛の肉だって、蛇の肉だって、モンバットの肉だって、オークの肉だって」
(※本当(笑)。焼き肉は、全ていっしょくたにされる)

 「KAORU」、ちょっと心配そうな顔をしながら、パンと焼き肉を、むしゃむしゃゴクンと食べていく。

KAORU「結構美味しいけど……。この食生活が、ずーーーーーーーっと続くかと思うと、眩暈がするわ」
Shanty「KAORUさん、喉、乾いていませんか? 良かったら、コレをお飲みください」
KAORU「お、気が利くわね〜。じゃあ、さっそく」

 んぎゅ、んぎゅ、んぎゅ……ぷは〜っ(※ホントに、こういう効果音がする)。

 と、その飲み物を飲んだ直後、
 「きゅぴ〜んっ」という効果音が(笑)。

KAORU「な、なに、これ?」
Shanty「ブラックポーションですわ」
KAORU「飲み物って、ポーションだったの!?」
Shanty「私のスキルアップのために、大量にポーションを作っていたので……。特に害はありませんわ(ニッコリ)」

 大量のパンと、素材不明の焼き肉。
 そして、過剰供給されたポーションを水代わりに飲む。

 しばらく、こんな食生活を、送ることになりそうです(笑)。


1998.06/19 三十五日目
「ディスパイス」攻略。そして、初めての殺人
 あうう、日記、ほんとに不定期更新になってますね(^^;

 でも、毎日プレイしてます。
 ええ、ガンガン、プレイしていますとも。
 ……夢中になって、この日記を書くのが面倒に思えるほどです(笑)。


 なにはともあれ。
 幾度となく通った、ダンジョン「ディスパイス」。
 この日、ついに、”ほぼ”制覇しました。

 PKは居ないわ、調教されて襲いかかって来ないモンスターがウロチョロしてるわ、比較的弱い敵しか出ない、このダンジョン。
(※後日、「Pastel」さんが、ここでPKされてしまったそうです(;; )

 アースエレメンタル、ウォーターエレメンタル、リッチなどの強敵が出ると思いきや……。
 それは昔の話で、パッチが当てられてからは、弱敵しか出現しない、本当に初心者向けのダンジョンになっていたのです。
 まったく実入りが少なく、「裁縫」スキルがなかったら、雀の涙ほどしか、報酬が得られないほどです。

 でまあ、PKを生業にしている者たちは、鼻にも引っかけないダンジョンであり。
 初心者の方々(っていうか、「KAORU」もですが(笑))が通いやすくなっていたんですよね……。

 そんでもって。
 この日、ついに「KAORU」は、初心者を脱却できたようです(^^;

 っていっても、
 前記したように、それほど強い敵は出てこないんですよね。

 地上二階?だろうが、地下一階だろうが、地下二階だろうが、出る敵は全部一緒(^^;

 ただひとつ、違ったのは……。

 地下二階には、Red NameのNPCが出現するのです。

 俗称、Evil Mage。
 悪の魔法使い……。
 その名に違わず、出会うPC全てに、襲いかかってくるのです(涙)。

 この日。
 「ディスパイス」攻略中に、ひとりの女性PCと出会いました。
 スペルは忘れましたが、「フレデリカ」さんだったと記憶しています。
 第八レベルの魔法「サモン エアーエレメンタル」を使い、風の精霊を従えていたことから、かなり高位の魔法使いだと思います。

 名前から、てっきり外国人かと思ったのですが、彼女から「kon niti ha-」とかいって、話し掛けてきたと思います。
(※田中芳樹の「銀河英雄伝説」の「フレデリカ」さんかな?(^^; 「ヤン=ウェンリー」って人も、ブリテインで見掛けたから、そういう団体があるのかも?(笑))

 でまあ、私が、ここ、強い敵が出ます……?
 って聞いたら。
「NPC PKが出るよ〜」
 とのこと。

 NPC PK……?
 初めて、耳にした言葉。
 ノンプレイヤーキャラクターのPK……?

 NPCが襲いかかってくるのかな。

 そう思いつつ、彼女と別れ、ディスパイスの探索を続けると……。

 おや、人の足音が……?
 PKと出会った経験が無いとはいえ、油断は怠りません。
 警戒していると……。

 拳を振り上げ、戦闘モードに移行している人間が、私に向かって、歩み寄ってきます。
 赤い名前……。
 PKか!?

 と思ったら、なんか歩き方が変です。
 っていうか、NPCの歩き方(笑)。

 おお、あれが噂の、NPC PKか〜っ!

 全力で持って、そのNPCに戦闘を挑みます。

 相手は、魔法をガンガン撃ってきます。
 しかも、戦闘中、突然モンスターが出現し、「KAORU」を取り囲むから、さあ大変(笑)。

 「テレポート」の魔法で、囲いから脱出し。
 「ファイアーフィールド」という、設置型エリア魔法で敵を焼き。
 ヘビークロスボウでもって、攻撃する……。

 振って湧いたモンスターたち。
 そして、NPC PKを倒した時には、もうヘロヘロでした(笑)。

 さあて、NPC PKは、なにか良いアイテム持ってるかな〜っと。
 嬉々として死体漁り(笑)をしようと思ったら……。

 聞き覚えのある足音が(^^;

 えっ……と、慌てて見てみると、ふたり目のNPC PKがこっちに向かってきます(笑)。

 ホントに瀕死だったので( and 毒(笑))、速攻で「リコール」。
 街に戻ったときには、ヒットポイント、一桁代でした。

 NPC PKのお宝に未練があり。
 体調と装備を整え、再度ディスパイス深層へ。

 すでにもう、誰かに漁られた後でした(笑)。

 ……こうして。
 ディスパイスは一応、攻略したこととします。

 また今度、修行がてら、NPC PKに戦いを挑むことがあるとは思います。
 しかし、なにより実入りが少ないので(^^; 他のダンジョンに行きたいのも、また事実。


 順当に行けば、つぎは「コブトス」の探索なのですが……。

 試しに。
 久しぶりに「コブトス」へ行ってみたら、数分で PKと遭遇(泣笑)。

 ただ、単独PKだったので、余裕を持って(おお!)逃げることに成功します。
「Good bye」
 だなんて、ファンクションキーに登録してある台詞を喋るくらいに、余裕ありあり。

 敵がうじゃうじゃ徘徊していたディスパイスを攻略したいま。
 単独PK、しかも武器攻撃のみのPKならば、逃げ切る自信があります。
 あくまで、逃げるのですけども(^^;

 以前……。
 かなり前に、ふたり組にPKされた……と、書いたことがあります。
 それ以来、一度として、PKされたことは、ないんですよ。
 データが戻されたこともあって、データ上では、「KAORU」、じつは一度もPKされたことがありません。

 単独PKなら、いままで 100%逃げ切り(日記に書いてませんが、結構会ってます(^^;)
 PK集団に出会っても、辛くも逃げおおせ。
 仲間と行動している際、PK集団に攻撃され、仲間がPKされても、逃げ切っています(後衛だったから、逃げやすかった)。

 これはひとえに、常に「リコール」できるように心掛けているからです。

 戦闘をしていないときは、常に両手を空けておき。
 戦闘をしているときは、即座に武器を外せるように準備をして。
 敵を倒した後は、回復するよりも、宝を漁るよりも早く、武器を外し。
 また、即座に無手になれるよう、武器だけを持ち、決して盾は持たない。
 そして、人を見掛けたら、即座にALL Nameして、その人間がPKか否かを確かめる。

 「KAORU」に、自信が持てるようになってきた今。
 ダンジョンのように、生き返りが難しい場所ではなく。
 もしも、街に近い、森の中で単独PKと遭遇したら、とりあえず、応戦してみるつもりです。

 ……かないそうもなかったら、やっぱり逃げますけども(笑)。


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