1998.05/23 八日目
「KAORU」、殺害される(;;
 今日も呑気に、『UOぉ〜UOぉ〜』。

 皮革店で、獣皮の入荷を待ち〜の。
 裁縫店で、ファンシーシャツを大量に作り〜の。
 ブリテインの東の森で、木こりし〜の。
 頃合いを見て、皮製品やファンシーシャツを「Vendor」諸君に売り〜の。

 銀行に預けている貯金や、仲間に貸しているお金、所持金などを合わせれば、もうすぐ 30000GPに。
 ステータスは、STR 49、DEX 72、INT 42。
 スキルは、Tailoring 71.8、Hiding 57.7、Lumverjacking 18.1。

 始めて一週間チョイで、これだけになりました。
 うん、結構成功しているみたいですね(^^

 でまあ、調子に乗って、ブリテインからかなり離れ、東の森で「伐採」と「Camping」をしていたら……。
 赤文字で、「あなたは攻撃されているっ!」とか、そんな感じの英語が表示されたかと思ったら、弓矢が飛んできました。

 へぐああっ!?

 即座にALL NAME(画面内に居る、全ての生物の名前を表示)。
 真っ赤に染まった名前の、PCがふたりぃっ!(;;
 警戒心も無く、街から離れた、森の中をうろついていた私が、悪いんです(;;

 ヒュン、ヒュン……。
 と矢が飛び、「KAORU」のHPがジリジリと削られていきます。
 「KAORU」、WARモードに移行するだなんて愚かなことはせず、ここは逃げの一手!

 ……しかし、森の中は走り難い。
 なんでもない草の上を通り抜けられなかったり、木にぶつかってしまったり……。
 そしてなにより、初めてPKにあったということもあって、物凄く慌てていました。

 AAUU〜っ!

 何発目かは覚えていませんが、ついに、「KAORU」は倒れてしまったのです(;;

 ごんぢぐじょおおおおおお〜っ!(;;

 ……死んだ場合、二者択一に迫られます。
 その場で生き返るか、他者に蘇生してもらうためにゴーストとなって世界を徘徊するか。

 その場で生き返れば、所持していたアイテムをほとんど失わずに済みますが、著しく能力が衰えます。
 一方、ゴーストになった場合、アイテムはかなり失うことになるでしょうが、能力値はそれほど衰えないようです。

 で。
 その場行き帰りは愚の骨頂……と言われているので、私もゴースト化を選び、愛しいBritainで蘇生させてもらおうと思ったのですが……。

 選択肢が英語なうえ、やっぱり慌てていたので、間違えて、「その場生き返り」を選択してしまいました(;;
 しかも、まだ周りにPKが居る所に(;;

 「KAORU」、真っ白な死に装束なまま、逃げ回ります。
 何回か攻撃を受けたものの、今度は、なんとか逃亡に成功しました。

 ところが、私のバックパック(荷物を入れる鞄)には、ナイフくらいしか入っていない状態(;;
 殺された時、アイテムが散らばったり、PKに奪われたんでしょう。

 とほほ……。
 死に装束でBritainに帰りついた私は、まずは衣服から新調しようと考えます。

 ……まあ、良いか。
 大した荷物も持っていなかったし、良い教訓になったかと思えば……。

 なんて自分に言い聞かせ、なおかつ、その時に IRCに居た仲間にそう言って、「立ち直り早いですね〜」とか言われたものの。

 やっぱり、すげえ悔しいですぅ(怒泣)。
 育て上げた能力値も、鬼のように下がってしまったし……。

 ……ところが。
 私が銀行に辿りついた直後……サーバーダウンっ!!(爆笑)

 『UO』は、30分毎くらいに、データのセーブが行われているらしいです。
 ってことで、このように突然サーバーダウンに見舞われた場合、以前セーブされた状態に、データが戻されてしまうんです。

 つぎにログインした時、「KAORU」、元のドレス姿のまま、Britainの皮革店に居ました(爆笑)。

 そうです。
 『UO』のデータ上、「KAORU」が PKされたことが、白紙に戻されたのです(^^

 これを教訓として、Guard圏外では、警戒を怠らないようにしよう、と、かたく決意しましたです。


 ……で。
 またもや、「KAORU」は森の中。
 警戒をしつつ、「伐採」と小動物相手に戦闘スキルを上げておりました。

 と。
 東の方から、なにやら人影が……。
 違う、モンスターだ!
 あの姿は……たしか、「ガーゴイル」だっ!

 慌てて、背を向けて逃げ出しますが……「ガーゴイル」、歩調、遅いです。
 私がトコトコと歩くスピードと同じくらいの早さで、こっちに歩み寄ってきます。
 はっきりいって、楽勝で逃げられるスピードなので、私、安心しました。

 ……で。
 ここで、欲が出ます。
 このまま、Britain方面に歩いていき、無敵の「Guard」様に、「ガーゴイル」を殺させてはどうだろうか?
 そうすれば、戦うことなく、「ガーゴイル」から戦利品を得ることができるのでは!?(++ 

 ってことで。
 「KAORU」、ガーゴイルを引き連れつつ、呑気に森の中を西へ進み、Britainを目指します(笑)。
 途中、追いつかれそうになったものの、着実に街へ近付いていました……。

 と。
 そろそろ街道に出る……という辺りで、ひとりのPCが出現しました!
 青色の名前……しかも、どうやら日本人!
 で、その男性は、ガーゴイルに斬りかかっていきました!

 私がガーゴイルに追われてるんだと、勘違いしちゃったかな?(事実、追われてるんだってば)
 うう〜ん、私の獲物なのに、まあ、助けてくれるんなら、いいかなあ。

 と思っていた矢先、私の周囲が、輝きます。
 街中で何度か見た記憶がありましたので、これが魔法だとわかりました。

 ガーゴイルといえば、肉弾戦闘。
 他のRPGでそう刷り込まれていた私は、その魔法が、PCからの援助魔法だと、思い込んでしまいました。

 しゃあない、私も、ガーゴイル相手に、斧でもって斬りかかるかぁ〜などと思ったのですが……。

 ――動けませんっ!(;;

 いまのは、援助魔法なんかじゃなくて、パラライズっていう、攻撃補助魔法!?
 じゃあなに、あの日本人らしきPCは、私を助けてくれるどころか、PKするつもりなの!?
 青い名前なのに……同国人なのにっ……!?

 ……無知は罪……。

 ガーゴイル=魔法なんて使えない。
 魔法=そのPCによるもの。
 パラライズ=そのPCが、私を足止めするために使った魔法。

 そう思った私は、必死に、逃亡しようと足掻きます。
 でも、パラライズのせいで、その場から一歩も動けません!

 その間に、日本人らしきPCは、果敢に「ガーゴイル」をサクサク攻撃していきます。
 「ガーゴイル」を倒した後は、きっと、私も殺されるんだ……。

 そう思い込んでしまい、パラライズが解けた瞬間、私は慌てて、その場から去りました。
 もしかしたら、そのPCが私に魔法を掛けたんじゃあ、ないのかも?
 あるいは、物陰にPKが……?
 なんて思ったモノの、つい先刻、PKされたばかりだったので、その見知らぬPCを、無闇に信用することもできず。
 私は一応、「thanks」なんて打ち込んで、その場を全力で駆け去りました。

 ……ところが。
 Britainという安全な場所に戻った私は、「ガイドブック」にある、モンスターが記載されているページを見て、愕然とします。

 「ガーゴイル」は、肉弾戦だけでなく、魔法も得意とする、と。
 しかも中には、最高レベルである 8LVの魔法を使う者も居るとか!?

 私は、呑気に「ガーゴイル」を連れて歩いていましたが。
 運が悪かったら、攻撃魔法でもって、一撃で屠られていたのかも、しれなかったのです!(;;

 そして、思い当たります。
 先ほど、ガーゴイルに斬りかかっていった、日本人らしきPC。
 彼は、純粋に私の救援に入ってくれたのであって、私に使われたパラライズの魔法は、「ガーゴイル」のモノだったのでは、ないのか、と……。

 はうう、なんてことを、してしまったんだ〜っ。
 ひとしきり慚愧の念に身悶えた後、早めに『UO』を切り上げ、眠りにつきました。

 もし、あの日本人らしきPCと再会できたなら。
 今度は、キチンとお礼を言わなくちゃね……。


1998.05/25 十日目
「KAORU」、駆け出しレンジャーになる and またも殺害されるのこと
 「レンジャー」……それは。
 森を走り。
 獲物を狩り。
 その獲物から得る「肉」や「獣皮」でもって、金を稼ぐ者たちの総称。

 ……実際の意味は違うんでしょうけど、だいたいはこんな認識がされていると思います。
 少なくとも、私の中では(ヲイ)。

 なにはともあれ。
 「KAORU」、貯金も結構たまり、ぼちぼちステータスも上がってきたことから、いよいよ、戦闘系のスキルを上げる決心をしました。

 そして、歩きなれたBritain東の森へと、足を踏み入れます。

 ……とかいいつつ、やってることはいままでと同じ(笑)。
 「伐採」をして、材木を得たり。
 小動物を倒して、「肉」や「獣皮」を得て、小銭を稼いだり。

 けれどいままでと違うのは、「伐採」で得た材木を、「Camping」のために「たきつけ」にせず、武器にするために矢を作ります。
 そして、いままでは「伐採」をメインにしていたのですが、今日からは「狩り」をメインにしました。

 最近使うようになった「追跡」のスキルでもって、”動物”がどっちの方向に居るかを調べ、見つけ出しては、狩る!
 弓矢と斧を持ち合わせてはいるものの、弓矢で攻撃するのに必要な肝心の矢が無く(笑)、斧を使おうにも、最終的に弓矢をメインにするつもりなので、無意味にスキルを上げるのは避けたい。

 そこで、「KAORU」がメイン武器にしたのは……。

 ”拳”!!(爆笑)

 無手で戦闘をすることで、拳を振るいます。
 その際に上昇するのが、「レスリング」のスキル。
 けど、このスキル、馬鹿にしたものではありません。
 なぜなら、『UO』で魔法を使うには、無手である必要があるのです。
 魔法を使う際、素手になった自分を守るためにも、「レスリング」のスキルを上げておくことは、決して無駄ではないのです。
 それを証明付けるように、腕の立つ魔法使いの多くは、「レスリング」のスキルが高いという話です。

 ……で。
 もちろん、「レスリング」のスキルを上げることも目的ですが。
 なによりも、拳は消耗品ではありません(笑)。
 普通の武器は、使えば使うほど痛んでいくので、修理費がかかります。
 でも、拳ならば!(セコ……)。

 ってことで。
 「KAORU」、殴ります。
 殴ります、殴りますっ!

 「ねずみ」を殴り潰し、
 「うさぎ」を殴り殺し、
 「猫」を殴り倒し、
 「犬」を撲殺し、
 「羊」をボコにして、
 「鹿」をタコ殴りにし、
 そしてついには、「牛」をも、拳で粉砕します(爆)。

 強くなっていく様が、手に取るようにわかります。
 ……っていうか、スキルのパラメータを眺めていると、見る見る上昇(笑)。
 戦闘も、ずんどこ有利になっていきます。
 それに、AR(※いわゆる、総合的な防御力)は「20」!
 そこら辺で拾った「ボーンアーマー」と、やっぱり拾った「ボーンヘルム」。
 「フルビキニアーマー」(だから正式名称を調べろって)、皮製の手袋、肩当て、首当て、ロングブーツにズボン。
 あと、びらびらした、皮製のスカート(笑)。
 その上にドレスを着て、青いマントを羽織っている……。
 実際の姿を想像すると、かなりナニな格好ですが、防御力はかなりのもの。

 素手であり、スキルも低いので、小動物との戦いも、長期戦は避けられません。
 けれどこの防御力のおかげで、余裕を持って戦うことができました。

 ……しかし……。
 素手で持って、小動物をボコボコ殴り……。
 そのたんびに、猫が「にゃああ〜」って泣いて、犬が「わおお〜ん」って泣いて、羊が「めぇええ〜」って泣いて、牛が「んんもおぉ〜」と泣くのは……正直、心が痛いです(;;

 ごめんね、ごめんね、成仏してね〜っ。
 と詫びつつ、撲殺(^^;;;

 これも、愛しの「KAORU」が、餓えて乞食にならないためです(;;
 動物たちの犠牲が、「KAORU」の血となり肉となるのです(;;


 ……ま、それはそれとして(ヲイ)。

 やっぱり、はたから見ると、私の戦いっぷりは、頼りないのでしょうか?
 通りがかりの人たちが、いちいち救援しようとしてくれるんですよね(^^;

 あんまり傷ついていなかったのに、通りがかりの人が、私に回復魔法をかけてくれたり。
 「need help?」って、助けようか?だなんて声をかけてくれたり。
 はたまた、私がまれに弓矢で狩りをするのですが、打ち損じて残った矢を、戦闘中なのにわざわざ拾い、渡してくれたり(笑)。

 うう〜ん、「KAORU」が女の子だっていうのも、あるのかもしれない。
 女の子キャラクターにして、良かった〜(笑)。

 あと、Guard圏外で二度ほど、赤NameのPCを見ましたが、即座に私は、逃亡しました(^^;
 この用心深さ(と言いつつ、青NameのPCには無警戒(笑))のおかげで、PKには殺されなくて済んでいたのですが……。


 ……あれは、私が初めて「牛」を撲殺し、自分の強さ(笑)に酔っていた頃。
 ふと目に入った、「パンサー」に、戦いを挑んだときのことです。

 さすがは、豹!
 「KAORU」のHPが、ジリジリと削られていきます。
 対して、「KAORU」の拳は、ちびちびとしか、「パンサー」にダメージを与えられません。

 無手に弓矢を持って、遠距離から攻撃しては見たものの、矢をケチって練習していなかったので、滅多にあたりません(^^;
 やがて、弓も尽き、HPも半分をきります。
 けれど「パンサー」は、まだ三分の二程度の体力を残している!

 やむをえまい……と。
 秘密兵器としてバックパックの奥深くにしまい込んでいた、「マジックアックス」を取り出し、「KAORU」に装備させます。

 「マジックアックス」!
 それは、斧に魔力付与がほどこされたモノ!(って、まんまやん)
 以前、これを装備して、犬と戦ったら、二撃で粉砕した、一品!
 道具屋で60GP位で買えた(笑)、「KAORU」の奥の手!

 くらええええええっ!
 ぶううう〜んっ。
 バシュウぅっ。
 斧を振るった直後、「パンサー」の身体が、輝きます。
 「マジックアックス」に秘められた魔力が、いま、発動!
 どんな効果かは知らないけど、犬を二撃で倒した最終兵器や〜(笑)。

 さあ、「パンサー」よ、君は何撃、耐えられる?
 と、思った刹那。

 ぼんよよよ〜ん。

 この聞き慣れた効果音!
 その土煙から出現する、登場パターン!
 ああ、あなたは無敵の、Guard様っ!?

 って、なぜに貴方様がっ!?
 と思った数瞬後。

 AAUU〜っ!!

 「KAORU」、Guard様に斬り殺されてしまいました!

 なにゆええええっ!?
 と、ひとしきり絶叫した後、ふと気づきます。

 ……もしかして、ここってGuard圏内?
 森の中だし、PCの家がそこかしこに林立してるから、てっきり、Guard圏外だと思っていたのに……。

 無敵のGuard様は、街中での、攻撃と攻撃補助魔法の使用も、かたく取り締まります(っていうか、斬り殺してくださいます)。
 どうやら、「KAORU」が振るった「マジックアックス」の魔法に反応して、Guard様が私を”法律”の元にぶっ殺してくださったようです(;;

 ゴーストになって、全力でBritainに戻り、蘇生してもらい、やっぱり全力で来た道を戻ると……。
 「KAORU」の荷物は、全てその場に、残っていました(^^;

 PKにならともかく、Guard様にぶっ殺されることになるとは……。
 皆さんも、魔法の武器は、Guard圏内では装備しないように気をつけましょうね(^^;;;


1998.05/26 十一日目
赤Nameの日本人PC
 「KAORU」、今日もレンジャーっ!(^^)ノ
 Britainの北東方向にある、森林地帯を、テキトーに歩いて狩りをします。
 獲物はやっぱり、小動物(笑)。
 そんでもってやっぱり、武器は拳(爆)。

 いやいやいやいや……。
 拳は馬鹿に出来ないんですってば!

 装備はガチガチなので、戦闘中、あまりダメージを受けない。
 そしてこちらの攻撃も、劇的に相手を倒すほどの、強さは無い。
 となると戦闘は、嫌がおうにも長引きます。

 戦闘が長引くことで、スキルもガシガシ上昇します。
 なおかつ、素手による「レスリング」のスキルを何回も使うことから、それにともなって、STRも上昇します!

 ……ってことで。
 「KAORU」、じわじわと、しかし着実に、力を付けていきます(++

 でまあ、狩りを何回もやっていくと、どの種類が美味しいのかが、わかっていきます。
 「KAORU」のように、「Tailor(裁縫)」が得意な人間にとって、獣皮を剥ぐことができる動物は、非常に美味しい。
 で、「KAORU」から見れば、「牡鹿」「牝鹿」「牛」の三種が、狙い目です(++

 彼らから剥ぐことができる「獣皮」は、「Tailor」の手に掛かれば、一枚辺り 10GP以上に換金することが可能なのです。
 だから、狩りをしている最中、無造作に獣皮が捨てられているのを発見すると、そそくさと回収します(笑)。

 「Tailor」の技術が無いんだね。
 ふふふ、獣皮10枚……およそ100GPを捨てるだなんて……(++

 ……そんなことが、頻繁にあります。
 実際に狩りをしていなくても、そのおこぼれ?をあずかるだけでも、なかなか美味しいかも?(笑)

 まあでも、いくら美味しいといったって、街中でガシガシ「Tailor」している時の稼ぎに比べれば、十分の一以下ですけどね(^^;

 『LS』時代からの仲間であり、『UO』では魔法使いである「toshi」さんから、「スペルブック」を数冊作成して、売ってもらったり。
(※『UO』で魔法を使う方法は何種類かありますが、このスペルブックを利用して使う方法が、一般的……だと思います)
 また、商売人(笑)「TETU」さんから、「矢」と、魔法を使う際に必要になる「秘薬」を大量に売ってもらったり。
 そして、NPCから、スキルを教わったり。

 専任Tailorから退いたいま、稼ぎもガクンと落ち込み、貯金がじわじわと減っていきます(笑)。
 でもまあ、「KAORU」、確実に強くなっております!
 この日。
 小動物だけでなく、弱小モンスターである、「モンバット(猿と蝙蝠を合わせたようなヤツ)」と「コープサー(人喰い植物)」を倒したりもしました(^^

 動物が結構居て。
 なおかつ、ほどほどにモンスターも出現する、Britain北東の森林地帯。

 どこに行っても居るんでしょうけど、こんな所にも、PKは現れます。
 PK……プレイヤーキラー、プレイヤーキリング。
 プレイヤーキャラクター……PCを率先して殺害する、PCたちの総称。

 赤NameのPCを、この森林地帯でチラホラと見掛けます。
 ……っていうか、初めてPKされたのは、この森林地帯なんですけどね(^^;

 で。
 この日、森林地帯で、日本人らしきPCがふたり、話し込んでいるのと遭遇しました。
 ひとりは、青Name。
 もうひとりは……赤Name(;;
 ちょっと警戒しつつ話し掛けてみると……ふたりとも、友好的でした(^^

 結局、聞くのが怖くて、なぜ赤Nameなのかは聞けませんでしたが。
 もしかしたら、同国人同士という連帯感があったから、私をPKしなかったのかもしれません。

 ……同国人……。
 『UO』は多国籍……というより、英語がメインとして使われているため。
 同じ言葉で会話することができる日本人と出会えることは、非常に心強いです。
 こういう時ほど、同国人というものを意識することは、ありませんでしたね……。


 そして、この森で、とあるPCと再会します。
 森林地帯で呑気に……とは書いたものの、警戒は怠らないで狩りをしていると……。
 足音が近付いてきます。
 その足音は、NPCにあるようなゆったりとしたものではなく。
 PCならではの、目的を持った、早い足音です。

 すかさず「Hiding」でもって姿を消し、その人物をやり過ごそうとします。
 この方法で、赤NameのPCと遭遇する確率を、グン、と下げることが可能です。
 もしも、赤Nameが通っていったら、その逆の方向に狩りをしにいけば、遭遇せずにすみますものね。

 そいでもって。
 私の近くを、トコトコと歩いて通り過ぎていく人物は……。
 「ADMIRAL TOGO」!!

 Britainの皮革屋に集まる日本人PCたちから、要注意人物とされている、赤NamePC!
 やっぱり、名前は真っ赤なまま!
 そしてその服装は、ふんどし一丁なんて舐めきった格好ではなく、黒色系のプレートメイルで、ガチガチに身を固めている!
 悪事と買い占めで貯めた金で持って、武装を整えたのか!?

 獣皮の買い占めに憤慨したことはあったものの、他の日本人PCたちが言うような被害を、私は受けたことがありませんでした。
 以前、Guard圏外で会ったら、どうしてくれよう……などと書いてはみたものの、実際にこうやってGuard圏外で見掛けても、PKしてやろう……とは、思いませんでした。
 それに、「KAORU」は弱いし、「TOGO」氏は強そうだし(笑)。

 ってことで、その場はやり過ごしました。
 ……ええ、その場は。

 私が、IRCでチャットをしながら、狩りを楽しんでいると……。
 足跡が近付いてきます。

 PKされてから、かなりの時間が経ち。
 また、PKされても、構わないような格好をしていたので。
 もし、近付いてくる人物がPKだったら、速攻で逃げよう。
 ……と思いつつ、「牡鹿」をボコボコ殴り続けます(笑)。

 で、そこに現れたのは……「TOGO」。

 ガガーソ!
 やばいいいっ……!

 と思ったつぎの瞬間。
 彼の第一声。

「no PK」

 ……は?
 PKじゃあ……ないって?

 赤Nameだし、色々と悪評を聞いていたので、てっきりPKなどの悪事も重ねていると思っていたのに……。

 しかも彼、日本語で話し掛けてきました。
 っていうか、彼も日本人(笑)。

 ちょっと話をして……なおかつ、スキルを効率的に上げる方法なんかも教えてくれました。
 いやあ、この「TOGO」氏のおかげで、弓のスキルが見る見る上昇、10アップ!

 かつての恩讐?を捨てようと思った出来事でした(笑)。
 というか、彼のほうは、私のことなんて覚えていないんでしょうけどね(^^;

 なにはともあれ。
 赤Nameの日本人……。
 そして、自分をPKしようと襲いかかってくる日本人PCと出会ったら、話し掛けてみませんか?(ただし、余裕があったら)


1998.05/27 十二日目
人と、旅。UOに、世界を感ずるのこと
 ああ……『UO』って凄いなあ……。
 そんな風に思えた、一日でした。

 今日も昼間接続して、『UO』の世界を、生きる。

 しかし私は、不機嫌だった。
 なぜなら、朝の時点で皮泥棒と一悶着あったからだ。
 私が大量の獣皮を、地面を引きずりつつ、歩いていると……。
 青NameのPCが、トコトコと歩み寄ってきた。

 なんだコイツ……?
 と、一応警戒しつつ、獣皮をえっこらしょ……と運んだ直後。
 そいつが、奪いやがってくださいました(;;

 どんなに重い荷物でも、どんなに非力なPCでも、持ち上げることは可能なのです。
 さすがに、持ち上げたまま歩くことは不可能ですが。

 私の場合、数百枚の獣皮を持ち上げては、右にヨイショと落とし。
 地面に置いた獣皮の右隣に移動し。
 左に位置する獣皮をヨイショと持ち上げ、右に落とす。

 これを繰り返すことで、とうてい、鞄の中に詰められないような荷物を、ずりずりと引きずって?行くことが可能なのです。

 ……で。
 この時の青NamePCが、輸送中の獣皮を、勝手に持ち上げてくださいました(怒)。
 私のように、地面に置くことはせず、持ち上げたまま。
 高い高〜い……っと、私を嘲笑い、大量の獣皮を持ち上げたまま、「hehehe」と笑ってくださいました(怒)。

 場所が場所なら、敵わずとも、攻撃を仕掛けたでしょう。
 でもここは、街中。
 攻撃を仕掛けようものなら、無敵のGuard様に斬り殺されてしまいます。

 ……ヤツも、獣皮を持ち上げている以上、移動することはできません。
 移動するには、私と同じように地面に置くなりなどして、チンタラ移動するしかないのです。

 ヤツが、それをする瞬間を待ち、私もそこに立ち続けます。
 ヤツは英語でどうのこうのと、挑発するようなことを喋っていました。
 そのほとんどがわかりませんが、あきらかに、嘲るような調子です。

 しかも、通りかかったPCに(知り合いかな?)、「へへへ、獣皮数百枚も拾っちまったぜ〜」などとほざいているようでした(怒)。

 我慢比べ……。
 私は、ふいに思い立ち、「Hiding(隠れ)」をかまします。
 姿を消した私の姿は、ヤツには見ることができません。

 私が姿を消して、油断したのか。
 それとも、私の姿が見えないことに焦りを覚えたのか。
 いつ獣皮を下ろすべきかと、計りかねていたからか。

 ついに、するする……っと、ヤツが地面に獣皮を下ろします!

 もらった!!

 私はすかさず、ヤツよりも早く、獣皮を持ち上げ、奪い返すことに成功しました。
 しかし、姿は消したまま。

 ヤツは数瞬、身動きを止めた後、「チキショウっ!」とかそんな感じの台詞を喋りつつ、去っていきました。
 ALLNAME(画面内の生物の名前が、全て表示される)でもって、ヤツが姿を消すまで、私はじっと、姿を消し続けました。

 ヤツの名前は……「なんたらかんたら、HGL」。
 Britainに居れば、また見掛けることがあるでしょう。
 その時は、正式な名前をチェックするつもりです。

 そして、Guard圏外で遭遇したら……(++
 たとえ、キャツが悪事を働いていない、青NAMEだったとしても。
 私は、キャツに制裁をくだす決心をしました。

 評判が落ちる?
 確かに、それは重要でしょう。
 けど、この怒りを抑えることは、できません。

 青NAMEのまま悪事を働く連中に、制裁を加えてやりたい……。

 この日、私の胸に、「KAORU」以外のキャラクターを作成しよう……という思いがわきあがりました。
 鬼畜な青NAMEを屠る、義の赤NAME……。
 いつか、きっと……!(++


 『UO』の世界……。
 前記したような、ズル賢い小悪党や、人の荷物をスル盗人、そして、PKをメインにする殺人者など、悪人は腐るほど、存在します。
 しかし、それ以上に、善人も生活しているのです。

 戦闘中、苦戦しているところ、通りすがりの人から、回復魔法を掛けてもらったり。
 PKがいるよ、手強いモンスターがいるよ……と、旅の途中に、情報をくれたり。
 身ぐるみ剥がされたところを、無一文になった所を、助けてもらったり。
 死んだ人間の近くで、荷物が悪人に取られるのを考慮して回収し、持ち主が戻ってくるのを待っている人が居たり。
 強敵を、通りすがりの人間と協力して倒し、戦利品を山分けしたり。

 悪人と、善人とが混濁した世界。
 なんともはや、リアリティの溢れた世界を、形作っているでは、ありませんか……!

 外で出会う人間、初めて出会った人間を、どこまで信用するか?
 親切を装った人物に、背後から斬りかかれたり。
 悪人にしか見えなかった人物が、助力をしてくれたり。

 自分の判断ひとつで、生死が決まります。

 NET RPG……。
 『LIFE STORM』で、中毒してしまいそうになるほどの面白さがある……っていうことを思い知らされていたものの。
 『LS』と違って、『UO』の世界は、なんとリアリティに満ちた世界なのでしょう。

 各、プレイヤーの思惑が渦巻く、架空の世界……。
 「KAORU」は……私は、この世界でどんな生き方をすることになるのでしょうか……?


 そしてこの日。
 いつものようにBritainの北東の森へ、狩りにでかけます。

 昼間のプレイ……。
 ICQに、
 『UO』熟練者にして、ぶらじゃ〜バイヤー(^^;の「SOPP」さん(女性キャラ)、
 セクハラ王(^^;にして女装好き?の「Kotaro」さん(『LS』時代からの仲間、男性キャラ……なのにドレスアップ(笑))。
 ……このふたりの、生命反応がありました。

 「SOPP」さんの呼びかけで、IRCに集まり、ダベリながら、各々に『UO』をプレイ。

 と、どちらだったか、記憶にはありませんけど。
「いまどこで狩りをしてる?」
 と聞かれ、「Britainの北東の森〜っ」と応えると、ふたりも、やってきました。

 でも、広大な森。
 なおかつ、互いに待ち合わせすることもなかったので、各々、好き勝手にハンティングを楽しみます。
 最初こそ、獲物が少なかったものの、時間が経つにつれ、動物や魔物が湧いてきたのか、少しずつ、獲物が増えてきます。

 また、昼間という時間帯のせいか、プレイヤーも少なくなっているようです。
 BAJAサーバーのある、アメリカ西海岸は、日本の17時間前だという話です。
 日本の昼間では、向こうは朝ってことですよね。

 IRCでもって、互いの戦果を話し合いながら、狩りに勤しみます。

「鹿がいっぱい居て、獣皮がいっぱいとれたぜ〜」
「魔物二体と同時に戦って、倒した!」
「うひゃあ、エアエレメンタルに追い掛けられたよ〜っ」

 三人、各々の狩り。
 私も、なかなか景気良く狩りができました。
 途中、スケルトンやゾンビという、弱いモンスターと遭遇し、素手で持ってぶち倒し(笑)、戦利品を手に入れました。

 おお、「ほねほねアーマー」だ!!
 「ほねほねアーマー」……正式名称は、「ボーンアーマー」だったかな?(^^;
 なんにせよ、この骨製の鎧は、軽くてDEXが下がらないというのに、防御力は「プレートアーマー」クラスという一品!
 実際、「プレートアーマー」よりも、これを着込んでいるPCのほうが多いほどです。

 ただし、「ほねほねアーマー」は、他の金属製鎧と違って、壊れても修理できません。
 また、NPCに買い取ってもらうこともできず、実際には使い捨てです。

 けれど、やっぱり嬉しい!
 「KAORU」、以前、道端に落ちていた(笑)「ほねほねアーマー」を脱ぎ脱ぎして、新品の「ほねほねアーマー」に着替えます。
 「AR(防御力)」が、2くらい上昇!
 それだけ、いままで着ていたアーマーが、傷ついていた……という証拠です。
 新品の「ほねほねアーマー」……っていうか、この鎧はスケルトンやゾンビの骨から作られているって設定だから、出来立てのホヤホヤかな?(笑)

 でまあ、戦利品も上場……と、狩りを続けていきます。

 ……と。
 「Kotaro」さんが、沼地に着いた……ということを、IRCで言いました。

 沼地って、なんだろう?
 そう思いつつ、獲物が少なくなってきたので、私は、いままで踏み入ったことのない地へと、足をのばします。

 美味しい動物のみを狩り(^^; 敵わないモンスターからは背を向け。
 東へ、東へ……と歩いていくと。

 ふいに、耳にかすかな音楽が……?

 なんだろう、他の家の、テレビの音かな?
 などと思いつつ、東へ行くと……それは、あきらかにパソコンのスピーカーから流れているとわかりました。

 いままでに、聞いたことのない音楽。
 耳に新しい音楽は、ここが、私の知らない土地だという証拠でしょうか。

 その音楽は重々しく、私の緊張感を、ずいずずいと押し上げていきます。

 そして……そして、私の前に、広大な沼地が現れたのです。

 その異様な光景に、しばらく立ち尽くします。
 虫の音か、それともまだ見ぬ、生物たちの泣き声か。

 音楽と一緒に、その環境音?も聞こえてきます。
 また同時に、どうやらリザートマンらしい、吠え声も。

 ああ、そうだ。
 聞いたことがある。
 Britainから東方に延びる街道を行くと、沼地があって……。
 その向こうに、「ヴェスパー」という名前の、街があるということを……。

 まだ見ぬ都市を思い浮かべながら、私は沼地に、背を向けます。
 今度は街道筋を通って、Britainへと戻ります。
 途中、国境のようなものがあって、見張り台のようなものが、そびえ立っている所にたどり着きます。

 その旨を伝えると、IRCに居た仲間たちも、そこに現れます。
 「Kotaro」さん、そして「SOPP」さん。
 しばらく、『UO』の世界でローマ字チャットをします。
 どうやら、街道の向こうに、モンスターを使役するPKが居る……とか、そんな話を聞き。
 私は、街道筋を離れた森林地帯を通って、Britainに戻ることに決めました。

 小動物を狩り、モンスターを倒して戦利品を手に入れ。
 そしてなおかつ、見知らぬ土地へと、歩を進める……。
 未知への好奇心と、恐怖。
 様々な出会い。
 まだ見ぬ怪物と、そして、土地と人。

 確かに、「ムーンゲート」という名前のワープ装置を使えば、行ったこともない街に、即座に移動することは可能です。
 でも、この日の旅を、経験して……。
 足を使って、旅をする……ということに、他には得難い快感があることを、知りました。

 そうだ。
 行ったことのない土地へは、出来る限り足を使って、旅をしよう!

 私は、そう決心をしました。

 ……『UO』って、なんて素晴らしいのだろう……。


1998.05/28 十三日目
絶倫爆速裁縫師、一日で一万GP稼ぐのこと
 「絶倫爆速裁縫師」……。
 『LS』時代からの仲間である、「Kotaro」さんが付けてくださった称号です(^^;
 あんまり嬉しくありませんが、この称号、「KAORU」の金稼ぎを象徴したモノだと思います。

 そいでもって。
 「KAORU」、この日、一万GPを稼ぎました。
 ……一日だけで、です。

 どんなに名うての冒険者でも、一日で稼ぎ出すのは、まず無理ではないでしょうか。
 それを、ヘッポコな「KAORU」が、一日にして稼ぎ出した……。

 前からチマチマ書いている、獣皮でもって。
 この日のBritainの皮革屋、独占状態でした(^^;

 誰も来ない=「KAORU」が買い占め。
 ゴリゴリ革製品を作りだし、ガシガシ売りまくり。
 気づいてみれば、楽に一万GPを稼ぎだしていました。

 しかも、です。
 ただ独占するだけでなく、ICQでオンラインと確認できた「Kotaro」さんに、分けたりもしています。
 「Kotaro」さんに 300枚を譲る。
 これが二回ありました。

 それと、皮革屋で知り合い、色々とアドバイスをしてくださる、日本人PCの「Ed」さんに、分けてもらったり。

 「Kotaro」さんや「Ed」さんと、椅子に座ったりして、チョキチョキと裁縫に励みました。
 裁縫道具、何個壊したことでしょう(笑)。

 この日、あまりに裁縫に励んだせいで、マウスを操る右手が、死にそうになるほど、痛みましたです(^^;
 職業病ですね(笑)。

 裁縫ばかりやっていたので、ほとんど狩りはできませんでした。
 まあ、一日、街の中でお仕事に励むというのも、たまには良いかもしれませんね。

 『UO』をあまり知らない人には、私が、なぜこれほど、躍起になってお金稼ぎするのか、わからないかもしれません。

 『UO』では……家を建てられるのです(++
 いくら、無敵のGuard様が目を皿のようにして、警護している、都市でも。
 決して、安全ではないのです。
 人が集まるところに、悪人も集まります。
 銀行の周囲には、アイテムやお金を預けたり、引き出したりする人を狙って、スリが行き来しています。

 街中でも、安全ではない。
 街の外にでれば、もっと危険です。

 けれど。
 もし、自分の家さえ手に入れることが出来たなら……。
 そこは、安住の地。

 また、銀行に預けられる量にも、限度があります。
 家に大切なモノを置いたり、仲間や友達を招いて、団欒したり。

 そしてまた、莫大な資金さえあれば、この世界に塔、そして城さえも建設することが可能なのです!

 こういうことがあって、ブリタニア(『UO』の世界の名前。あれ、大陸の名前だったかな?)に生きる者たちは、お金稼ぎに奔走します。
 コツコツと貯金して、マイホームを手に入れるためにっ……!

 って、なんか、リアルライムのサラリーマンみたいだなあ(^^;


1998.05/29 十四日目
「KAORU」、街中での内職に、縁を切るのこと
 またもや、皮泥棒と遭遇。
 今度は、Hidingでもって透明になって、人様の皮を遠方から裁縫してくださりやがる、小悪党。
 しかも、こっちが隠れて裁縫しているのを見込んで、テクテク歩き(たとえ私がHidingで隠れていても、相手が私の居る場所の上を通ると、そこに誰が居るかが、わかってしまう)、私の隣の席に座って待つ、念の入りよう。
 こっちも意地になって、Hidingで透明のまま、皮を持ち上げ続け、ウェブ巡回なんかに勤しむ。

 ……で、しばらく経って、行ったかな……?
 と思ったら、また来やがってくださいますし(怒)。

 やっぱり、赤nameキャラ……報復キャラを作ろうと決心しましたです(++


 ……で。
 「KAORU」、Britain東の森に、狩りに出掛けます。
 勝手しったる、馴染みの狩猟場。

 獣皮が美味しい動物を率先して倒し、皮を剥いで皮製品を作成。
 人様が捨てた皮をちゃっかり拾い集め。
 弱いモンスターは、後退しつつ弓で射殺。
 強いモンスターを見掛けたら、スタコラ逃げる。

 街で、皮を取り扱っていた方が、断然実入りは良いです。
 けれど……。
 動物から剥いだ皮でもって作り上げた品物と、やはり動物から取ったお肉を、お金に換金し。
 わずかばかりの……500GPていどのお金を眺めやる。
 確かに、Tailorスキルが 75ある「KAORU」にとって、それは微々たる稼ぎですが。

 しかし、この重さはどうでしょう?

 獣皮で、二〜三千GOLDを一気に稼いだ時以上の、充実感。
 ……そう。
 獣皮、革製品でもって手に入れた金など、いわば「バブル銭」(なんじゃソリャ(^^;)!
 自分の命を晒して手に入れた金に、勝るモノ無し!!

 それに、皮革屋で裁縫するのって、凄い、神経を疲弊します。

 ……ああ、足音だ。
 いま歩いて来る人は、この店に入るのだろうか?
 あの人も、皮を買うつもりなのかな?
 あんにゃろ、もしかして私の皮、狙ってる?
 皮入荷は、いつ? 一分後? それとも、三十秒後……?

 もう、こんなことでストレス溜まるの、まっぴらゴメンです。

 確かに、ここで知り合った人たちとの縁、大切にしたいですけど。
 けど……けどもう、私、こんなに神経使うの嫌だああああっ!(^^;;;

 ってことで。
 最近はもっぱら、狩りに勤しんでおります。

 夜。
 『LS』時代からの知り合いの「Pastel」さん(女性キャラ。死亡数、仲間内で最大!?)。
 以前にも記した、魔法使いにして巻物屋さんの「toshi」さん。
 そして私と、三人でもって、Britain西の森へと、向かいます。
 この土地に訪れるのは、初めてです。
 PCが開いている幾つもの店や、PCが建てたテント、家をジグザグに避けながら、森へと向かいます。

 ……でまあ、結局。
 誰かが狩りをした後だったのか、獲物にはトンと出会えず。
 このまま帰還するのも、寂しいので。
 「Pastel」さんに先導してもらって、ダンジョンへ向かいます。

 ダンジョン……といっても、地下一階部分のみ。
 弱小モンスターを蹴散らしつつ、地面に落ちている秘薬を拾ったりする。

 でまあ、「toshi」さんがテレポート(正確には、「リコール」という名の移動魔法)で離脱したので、私と「Pastel」さんとは、徒歩でBritainに戻ろうと歩き始めます。

 ダンジョンでの稼ぎは、本当に雀の涙ていどでしたが。
 その途中、ちょっと良いことがあって、お金、結構儲かりました。
 え?
 なにで儲けたかって?

 ……それは、私と「Pastel」さん、ふたりだけの秘密です(^^;

 街の中での内職とは、縁を切り。
 「KAORU」、本格的に「レンジャー」、そして冒険者へと、修行をつんでいくことにしました。


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