『こみっくパーティ』の二次創作小説のあらすじ




タイトル
 『Libra』(天秤座)
 『〜〜Cat』『生意気な〜』『活発な〜』『勝ち気な〜』『天の邪鬼な〜』
 『選びえぬ選択』『OR』『天秤』


大庭詠美が主人公の、三人称での物語。
 由宇、彩にも視点を置きつつ、南、千紗、和樹がサブを固める。


コンセプト
 『こみっくパーティ』を知らない人でも楽しめ、なおかつ、原作への購買意欲を高める意図。
 ただし、ネタバレが強いことも前記する必要あり。…つうか、ネタバレしまくり(笑)。


執筆しない理由
 まんま、『こみパ』をノベライズしたような感じになってしまうため。
 資料集めや実際の執筆で、二ヶ月以上掛かること必至。
 また、発売から二年近く経過していることもあって、執筆を断念。

 「せっかくだから」、ここに公開。



詠美の性格などを一から説明。

Cat or Fishのサークル名の由来。
 猫を飼うか魚を飼うか。元から飼っていた猫。ある日、詠美の元から去る。
 詠美「見捨てられた…」、父「あれで歳だからな、多分…」

 交通事故で、猫死亡。あんなに可愛がったのに、あんなに好きだったのに、失ってしまった。
 詠美「動物なんて、もう飼わないもん…」 両親は、熱帯魚を詠美に飼わせるが…。

詠美の学生生活。
 つまらない日常、浮いてしまう詠美、彼女の拠り所である漫画。
 …由宇『詠美は、人の目ぇ見て話すようなこともできんかった女の子やったんや…』
 そして同人誌、即売会の存在を知り、もしかしたら自分にも仲間が出来るかも…と勇気を出して踏み出す。

はじめての即売会。
 …ところが、はじめての即売会で売れたのはたったの二冊。牧村南と猪名川由宇。
 しかも、品の悪い客にからまれ、しおしおふみゅーん。ウブだった詠美は半泣き。それを救ったのが由宇。
 隣のスペースの由宇との語らい、同人誌への熱情、はじめて出来た、同じ趣味の友人。

由宇との交友。ユニット。由宇に対して敬語を使う詠美。少しずつ売れ出す詠美の同人誌。
 詠美にとって、同人界の先輩であり、憧れである由宇。彼女からの師事で、多くのことを学び取っていく。

即売会での由宇との交流。由宇の破天荒な行動に振り回され、アクシデントに揉まれる。
 そんなドタバタの最中、由宇に対して敬語を使っていた詠美が、”タメ口”を使うようになる。
 「お、ようやった、堅苦しい言葉使いやなくなったなー」「あっ…ご、ごめ…」「敬語なんて使うんやない。…うちら、友だちやろ? 仲間やんか」

ところが、段々と詠美の同人誌がマニュアル化されはじめるのを危惧し、由宇がそれを指摘。
 詠美の将来を憂う由宇と、売れなければ意味がないと譲らない詠美。
 「なんでわからんのや、詠美っ!」「だって由宇が言ったんじゃないっ! 『売れてナンボや』って!」「そ、それはそれ! これはこれや!」
 …決裂。ユニット解消。

売れる、詠美の同人誌。
 それはいけないと指摘するため、由宇は情熱を第一にした同人誌を描いて詠美に示し続ける。
 …ところが、ついに詠美の同人誌は由宇の販売部数を越える。有頂天になる詠美。周りからの賞賛、目も眩むような快感。認められたという自負。
 「あはははは! やった、あのパンダを越えた!」「…あほ…大バカ詠美…」

詠美、最後の関西遠征。「もうこっちには来ないわ。やっぱ東京よ、売るにはね」
 そんな詠美に、由宇は必死で食い下がる。ところが、詠美は頑として聞き入れない。
 「自分より格下のパンダの言葉なんて、聞く耳もたないわ〜」「こっの…バカたれ! 絶交や! こんなバカとは思わんかったわ!」
 詠美「……」由宇「そ、そんな顔しても許してやらん。おまえが思い直すまではなっ」「…ふ、ふんっ!」

ぷりぷりと怒って帰っていく由宇の背中を、詠美は寂しげに見送る。
 「なんでわかんないのよ…。売れなきゃ意味ないじゃん…。誰も読まなきゃ、意味ないもの…」
 あの由宇を越えた。憧れで同人の先輩だった由宇を、この自分が。寂しくて萎えそうになる気を、それで奮い立たせる。

東京の即売会。月一のこみっくパーティーで頭角を現す大庭詠美。有頂天。
 …しかし即売会が終わり、学校に戻ったときとのギャップに喘ぐ。

長谷部彩との出会い。画材屋につとめる彩の元に、画材を切らした詠美が。
 彩は、土・日のみ、画材屋でアルバイト。詠美は土・日は家にこもって漫画を書くことが多かったので、いままで出会うことはなかった?
 それとも、馴染みの画材屋が店内改装で休み…とか。

画材屋に訪れた詠美は、彩の視線に気づく。「な、なによう、ちゃんと買うわよ」「あ、いえ…そうじゃ…なくって…」
 詠美が求める画材が、ちょうど品切れ。「こっちはどうですか?」と、別の物を示す彩。ふたりの、画材談義。
 詠美は、彩をぼんやりと認識。「ちゃんと物がわかる店員が居るわね。また今度、ここ利用したげるわ」

千堂和樹との出会い。あの由宇が、なにかと世話をやいているらしい、新人物書き。
 由宇が和樹にユニットを組まないか?と持ちかけたことを知り、嫉妬を覚える詠美。「ゆ、由宇のヤツぅ〜、あたしへの当てつけのつもりっ?」

和樹、由宇とのユニットは組まないで、独自で活動。

和樹、千紗、詠美の小イベント。
 千紗が間違えて、和樹の同人誌を詠美のスペースに持ち込んでしまう話。「このじゃりんこ!」「ぱんだの手下ね」

知人…牧村南から、和樹の初同人誌を手に入れた詠美。その中で、光る才能を見出す。「こいつ、使えるわ」
 詠美が、和樹に誘いを掛ける。しかし、やはり和樹は断り、独自での活動を選ぶ。「ふみゅううぅうんん」

何度目かの即売会。午前中にあっさりと完売し、暇になった詠美はふらふらと会場を歩く。
 島といわれるスペースを歩き回る詠美。はじめて即売会に出たときの苦い思い出に顔をしかめる。

そこで、詠美は彩と再会する。しかし、詠美は彩のことを忘れていた。
 「あっ…」「ん?」「い、いえ…」「ふふん、この詠美ちゃんさまを知っているようねっ」
 「あの…その…○○の画材、たくさん仕入れたので…またいらっしゃってください」「あ…あああっ、あの店の!」「はい…」
 「あんたも、同人やってたんだ」そう言いながら、詠美は彩の見本誌を手に取る。「読っみにくい絵ね〜」「すみません…」「……」

彩の物語構成の上手さと、絵の上手さに着目する詠美。
 「…何冊くらい売れたの?」「えっと…四…冊」「えっ!?」
 実力はあるのに…。この才能を腐らせるのは惜しい。これもなにかの縁かもしれない。…そして、過去の自分の姿を彩に重ねる詠美。
 「あんた、あたしと手を組んでみない?」「でも…ご迷惑じゃ…」「あんたの才能を腐らせておくの、惜しいわ」「あっ…」
 「あたしが、あんたを売れる同人家にしてあげるわ!」
 自分のことを認めたくれた詠美。あの、大同人家の大庭詠美が、自分を…。彩は当惑しながらも、詠美の誘いに乗る。

「…昔にも、同じ様なことがあったわね」詠美は、由宇との出会いを思い出す。
 『あんたには才能があるっ。このうちが保証したるわ。…なあ、うちとユニット組んでみぃひん? きっと、売れる同人家にしたるわ!』

詠美と彩との交友。詠美は、自分を尊敬する彩を可愛がる。同じ趣味を持つ女の子同士。
 和樹が犬でポチなら、彩は猫でタマとか(笑)。

詠美の部屋で、彩へ教育。尊敬する詠美の言うとおりに漫画を書く彩。言いなりで、詠美の模倣のような同人誌を描き出す。
 ユニットを組んではじめての即売会で、詠美の指示で、彩は初めてオフセットで500冊完売。喜ぶ彩。
 …と、彩の本を買いに来てくれた人の中に、いままでよく買いに来てくれたファンの人と再会。
 「あ、こんにちは」「これが、彩さんの同人誌なんですか…?」悲しそうな女性の言葉。…そして、詠美が作り出した乱造の同人誌を前に、彩は思い悩む。

※このオフセット500冊を、彩はバイト時代なにかと縁があった塚本印刷に依頼。
 彩「私がもしオフセット本を作るようなときは、ここにお願いするって…決めてたんです」
 塚本印刷の料金、その手際を見て、彩に付き合って詠美も塚本印刷を利用。
  >塚本印刷、これを機会に復活。純朴な千紗との交流が、詠美の心を揺らす。

詠美と由宇、再度大激突。「大バカ詠美! いい加減目ぇ覚まさんかいっ!」「あんたこそ、あたしの足下にひれ伏しなさいようっ!」
 詠美「マンガは読まれてナンボって言ったのは、由宇じゃないっ! だから、あたしは売れるマンガをいっぱい作ったのっ!
  これで売れてるんだからいいでしょっ! たくさん売れるってことは、たくさん読者がいるってことじゃないっ! そうでしょっ!」
 由宇「あほんだらあっ! 売れるマンガと読まれるマンガは、同じやないんやっ! 昔は、昔はあんなに熱いマンガを描いてたやないか!」

本編の詠美シナリオと同じ様な展開で、詠美vs由宇(本編・和樹)の即売会勝負が行われることになった。

和樹「おい、由宇。あんなこと言って大丈夫かよ。相手はあの詠美だぜ?」
 由宇「ふふん。うちが、勝算の無い戦いをすると思ってるんか?」
 由宇の考えでは、新刊三種を持ち出し、対抗するつもりだった。和樹「き、汚ねぇ」由宇「間違いなく新刊や。実売数で上回ればいいんやっ」
 …ところが。

彩、詠美と組んで二回目の即売会。そして、由宇vs詠美の実売勝負。
 新刊三種で望んだ由宇は、詠美が新刊10種類を出してくる様子に唖然とした。
 「や、やられたぁ」「ふぅん、所詮は子ぱんだねっ! この詠美ちゃんさまは、あんたなんかと違ってスケールが違うのよ!」

勝負の最中、詠美はユニットを組んでいた彩の同人誌を手に取る。「あたしが指示した通りに書けば、売れるの間違いないんだから」
 詠美は、自分で書いたネームを彩に渡していた。彩は、その通りに同人誌を書き上げたと思っていたのに…。中身を見て、驚愕。
 自分のネームの片鱗はうかがえた物の、それはまさしく、彩自信の物語を構築していた。

自分の言いつけを守らなかった彩と…そして、彩のあふれ出るような才能を前に、詠美は歯ぎしりする。
 「こんなの売れるわけないじゃないっ! わかってない、全然わかってないよ!」確かにセンスは感じられたが、売れる要素が少ない。
 案の定、彩の同人誌は500部の内半分しか売れなかった(それでも、詠美とユニットを組んでいる恩恵で売れていた)。

「彩っ! もう、あんたとのユニットは解消ね」「あ…」
 彩は、激怒する詠美を、説得しようとする。「売れること以外にも、もっと…大切なこと、あると思うんです」
 由宇で説得できなかったことを、彩で説得しきれるはずがない。
 「あんたもあたしを裏切るのね。あんたも、あたしを置いていく。あ…あんたは、違うって思ってたのに…」

詠美vs由宇の勝負は、もちろん、詠美の圧勝。
 「さぁて、パンダになにを命令しようかな〜」「……」
 ところが、そんな詠美の元に、編集長やファンの人たちの批判の声。目先の勝負に夢中になっていた。
 ようやく、自分のしでかしたことに思い至る。真っ青になって、逃げ出す詠美。

そんな詠美を、由宇と彩は追いかけるが、追いつけない。
 詠美、右手を自分で壊そうと打ち付け、全治六ヶ月の骨折を負う。

何も知らない千紗が、詠美の家に注文を受けに来た。それに対して、詠美は無気力に、つぎの即売会には出ない旨を告げる。
 六ヶ月、ペンを握れない右手。そしてなにより、漫画を書く意欲を失っていた。
 千紗、詠美のおかげで、同人誌の注文が増え、会社が持ち直したことを感謝する。
 「…そ。あたしが同人やってて、人を救うようなこともあったんだ」「お姉さん…」

詠美は、こみっくパーティに訪れる。一般参加。
 漫画を失って、自分になにが残るというのだろう。いままでの習慣、あるいは惰性、それともなにかを見つけられるかもしれないという期待。
 …右手をコートのポケットに突っ込み、気怠そうに会場を歩き回る詠美。
 この即売会で、十数回も同人誌を売ってきた。そうして、なにを手に入れたのだろう。
 あれほど賞賛を集めていたのに、ちやほやしてきた知人たちから、冷たい目で迎えられる詠美。失った信頼は、そう簡単には戻らない。

由宇の元気な掛け声。威勢よく、なにより楽しげに同人誌を売る姿を、遠くから見つめる詠美。
 羨ましいという感情。由宇は、出会った頃から、なにひとつ変わらぬ様子で、じつに楽しげに漫画を書いていた。憧憬。

そして、彩。再びコピー本で細々と島で売るようになっていた。
 彩が詠美に気づき、立ち上がって声をあげる。「詠美さんっ…!!」
 その声で、周りが詠美を認識する。「cat or fishの大庭詠美…?」「前回のこみぱで、あいつの本買ったけど、すごいもんだったぜ…」
 詠美、ゆっくりとそれらに背を向け、歩き出す。

会場を走る詠美を、牧村南が引き止める。南の柔らかな応対に、詠美は慰められる。
 そして、南が即売会のスタッフを辞め、実家に帰ることを知らされる。「み、南さんも…いなくなっちゃうの?」
 南の、強い意志を感じさせる瞳。「私は諦めないわ。私の故郷でも、きっと、即売会を開いてみせる。その時は、詠美ちゃんも…」
 「どうして…どうして南さんは、そんなに強くいられるの? 諦めずにいられるの?」
 「同人誌のことが、本当に好きだから。多くの人たちの想いと、夢とで綴られた作品たちが。多くの人たちが楽しめる、そんな即売会を…」

人混み。コンサートの会場を見やる詠美。アイドル声優、桜井あさひのコンサートだ。
 ぼんやりと見ていると、桜井あさひが、突然引退宣言を始める。少し驚く詠美。

「ホ、ホントのあたしは、みんなの思ってるような……アイドルなんかじゃないんです……」
「ホ、ホントのあたしは、暗くて、あがり性で、そんな自分がキライで、いつもいじけてるイヤな女の子です」

「あたし……そんなものになりたかったんじゃない。ただ……明るくて元気な女の子になりたかっただけ……」
「あ、明るくて元気な女の子になりたかった……、そのために声優になって……。でも、それは見かけだけで……」

「ホ、ホントは、そんないい加減な気持ちでなれるはずなかったんです……」
「大事だったのは……どうしてそうなりたいか……」
「誰かに好かれたいからじゃない、誰にも嫌われたくないからじゃない……。そんな気持ちじゃ、きっとなれない……」

「本当のあたし!」

…本当の自分。アイドル声優だった桜井あさひ。いまや、人気絶頂とまでいえるほど登り詰めた彼女が、あっさりと引退するという。
 これだけの名声を得て、周囲からちやほやされているであろう彼女。それが引退して、普通の人となって…彼女は、満足できるのだろうか。怖くはないのだろうか。
 詠美は、怖かった。また、昔のようにひとりぼっちになってしまうのが、とても怖かった。
 本当の自分に戻りたいという桜井あさひ。スターになりたかったわけじゃない、明るくて元気な女の子になりたかっただけ、という桜井あさひ。
 詠美も、自分が漫画を…そしてなにより即売会に初めて訪れたときのことを思い出す。
 本当に、自分が求めていたもの。

詠美「あたしの本当って、なんだろう…」

一度傷ついた名声は、そう容易には元に戻らない。それを今回の即売会で思い知らされた詠美。
 …もう、昔のように、売れなくなってしまっただろう。そして、ペンを握れない右手。名誉を挽回するにも、半年以上も必要だった。

彩、詠美の元に駆けつける。自分の売場を放って置いて…。彩には、売場を任せられるような仲間はいなかった。それなのに。
 「いまは、詠美さんのほうが大切です…」「……」
 続いて、南から連絡を受け、駆けつけた由宇。「なあ、詠美…。もういっぺん、やり直さんか…? 昔みたいに…」

全てを失ったはずだった。
 …でも、ひとりぼっちじゃない。自分を心配してくれる人たちが、ここにいる。詠美、泣き出す。
 桜井あさひの歌声。そんな中、寄り添うようにする三人の姿。

「あたし、左手で書くよ。もう一度やり直すという意味もこめて…」
 「右手じゃ、ペンを握れない。半年以上も。半年経っても、昔のようには書けないかもしれない」
 「…だからあたしは、左手で書く。いまは全然書けないけど、頑張って…。昔みたいな熱意を持って、一生懸命に」

詠美が泣き止み、こんなことを言った。「ねえ、由宇。まだ、あの勝負のお願いごと、言ってなかったよね」「なっ…チャラにしてぇな、もう」
 「あのね、由宇…」詠美はちょっと笑顔を見せて、由宇に語りかけた。
 詠美の声を掻き消すほどの大歓声が、コンサートでわき上がった。(物語中で出さない)
 「そんなんでええんか?」「…うん」「よっしゃ! 任せときっ」

「また、わがまま言っちゃうこともあるかも…しれない…けど。ごめん…ね?」
 「ええってええって。うちら、友だちやろ?」
 桜井あさひのラストコンサートの中、三人は静かに微笑み合った。(※絵的に、遠くから見守る牧村南)



 『こみっくパーティ』の二次創作小説のあらすじ

 薫 青原が片手間に書き上げたあらすじ。
 資料集めや実際の執筆に二ヶ月以上掛かりそうなことや、その他諸々の事情で、執筆断念。

 もしこれを元に書きたいという人が居たら、事前にkazu@xa2.so-net.ne.jpまでメールをください。
 もちろん、この通りに書く必要などなく、ご自由に物語をいじってくださっても結構です。