…どん!

栞が本気で暴れて、俺のことを突き飛ばした。

か細い女の子の力なんて、大したものじゃないけど。
栞が本気で俺を拒絶し…泣きながら突き飛ばそうとしてくることにショックを受けた。

よろよろ…と、俺ひとりベッドの上に尻餅をついた。

にわかに言葉も喋れず、呆然と、栞を見上げた。
栞は半泣きの状態で、喘ぐように言葉を紡いだ。

栞 「嫌です…嫌…」

目の前が真っ暗になるような眩暈を覚えつつ、俺は言葉を絞り出した。

祐一 「ど、どうしてだよ…?」
栞 「…や…なんです…」

祐一 「それだけじゃわけわかんないって…。理由を言ってくれよ…?」

俺がさらに問いただすと、栞はとうとう、泣きはじめてしまった。

栞 「ひっ…えぅ…」
栞 「…そんな祐一さんなんて、嫌い…」

ズキリ…と、胸をえぐるような痛み。

…泣きたいのは、俺のほうだ。

祐一 「俺のこと、嫌いなのか? 嫌いに、なったのか…?」

俺は言いながら、うなだれた。

栞の足元を見つめる。
可愛らしい靴下だな…と、場違いなことを考える。

栞 「ちが…違いますっ!」
祐一 「だっていま、嫌いって言ったじゃないか」
栞 「違う…違うんです」

祐一 「俺のこと嫌いになったから、したくないんだろ? そうなんだな…?」

栞 「そ、それは違います! 全然違いますっ!」
栞 「祐一さんのこと…本当に、本当に、大好きです!」

祐一 「……」

視線をあげ、栞の瞳を見つめる。

涙目になっている、栞。
それから顔を逸らし、また俺は、床に視線を落とす。

祐一 「栞の言っている好きってヤツは、男女のソレなのか?」
栞 「…はい」

祐一 「俺は、栞の友だちとか、優しいお兄さんとかで終わるつもりはないよ」
栞 「はい…」

祐一 「俺は栞が思ってるほど、大人じゃない…」
祐一 「栞に、いい男だって思われたいから、いろいろ頑張ってるけど」
祐一 「ただの友だちとか、デートだけの恋人ごっこで我慢できるほど、幼くもないんだ」

うつむいた俺の視界に、栞が近づいてくるのが入った。

栞 「…恋人です。私と祐一さんは、恋人です…」

ベッドに腰かけ、俺が広げている両足の間に、栞が膝を立てて座った。
そうして、俺にそっとキスしてくる。

祐一 「それじゃあ…」

俺は栞の背に手を回そうとする。
そうすると、栞はやんわりと拒んできた。

栞 「でも、いまは…ダメです」
祐一 「いまは…って?」

栞 「…私、祐一さんのためだったら、どんなことでもできます」
栞 「祐一さんのこと、本当に、恋人として愛しています」

栞 「…そ、それを…いまから…証明、します」

証明?
…どうやって…?

そう思って見下ろしていると、栞のか細い手が、俺のズボンのベルトを外しにかかった。

栞 「い、いまは…これで…これで、許してください…」

栞の消え入りそうな声。
その手が、小刻みに震えているような気がした。

栞は、カチャカチャと音を立てながら俺のベルトを外す。
そうしてファスナーを下ろし、俺のズボンの前を開く。

…栞…もしかして。

栞 「祐一さん、愛してます…。どんなことでも、できます、から」

栞はもう一度、俺の顔を見上げた。
ちょっと涙目になっていたけど、とても綺麗な微笑みを浮かべていた。

そうして、視線を落とす。

トランクスを持ち上げている俺のソレを、栞はまじまじと見つめる。
真剣な眼差しで、栞の指が、トランクス越しに撫でてきた。

…栞がこれからなにをしようとしているのかを悟り、俺のものはすっかり張り詰めていた。

栞の指が、トランクスの前面にある布の切れ目を探る。
そうして、布の切れ目に隠れていたボタンを見つけ出し、それを外す。

そうすると、トランクスの前面が割れて、俺のソレがゆらりと姿を現した。

栞 「…あっ」

思わず…といった感じで、栞が俺のものを見て、声をあげる。

祐一 「栞、本気か…?」
栞 「私はいつだって本気です。祐一さんになら、どんなことだって…」

栞は、おずおずといった感じで、白い指で俺のものを触ってきた。
その冷たい指先に、俺は少し震えた。

栞 「祐一さん…」

囁くように名前を呼んだ後、栞の頭が近づいてきた。
そうして、俺のものの先端に、口づけした。

祐一 「…うっ」

突然の生暖かい感触に、ぴりっと心地良い快感が走った。

栞の細い指が、俺のものをおずおずと心許なげにこする。
そうしながら唇で、先端に何度も何度もキスをしてきた。

まるでそれは、これからしようとしていることの準備。
覚悟を決めるための儀式のような感じで。

…ま、マジか?
栞が…あの栞が、まさか進んで、こんなことをしてくれるなんて。

嫌がおうにも、俺のものの勢いが増す。

栞の動きを、俺は上からじっと凝視する。

俺の視線を意識しているのか、栞の動きは、やはりぎこちない。
ゆっくり…ゆっくりと指で上下にこすりながら、先端にキスをしてくる。

やがて、俺がその刺激に慣れてきた頃、いきなり、ザラリとした感触が先端を襲った。

…うっ…。

し、栞の舌だ。

栞がキスを止め、舌を出して、俺のそれをチロチロと舐め始めた。
最初はぎこちなかったけど、だんだんと、栞の動きが大胆になっていく。

…ちゅ…ちゅ…。

いやらしい音が聞こえてくる。
栞は、まるでアイスキャンディーでも舐めるような仕草で、俺のものをネットリと舐める。

栞の唾液で、俺のものがしとどに濡れる。
濡れた所に栞の吐息がかかって、くすぐったい。

祐一 「…栞…裏のほうも…そ、そう…」

俺が言うと、栞は言葉通りに従ってくれる。

祐一 「…そこ…その、とっかかりの所を…う…」

栞が、丹念に舐めあげてくれる。

…なんて気持ちいいのだろう。

大好きな栞が、こんなことをしてくれるということに眩暈を覚えた。
限界を越えそうになるのを、ぐっと我慢する。

もっと、味わっていたい。
栞の奉仕を、受け続けていたい。

…かぽ。

祐一 「……っ!?」

なんとか落ち着いてきたのを見計らったように、栞が新たな愛撫を繰り出してきた。

…そ、その小さな口の中に、俺のものをくわえて…。
舌で舐めながら、ぎこちない様子で頭を動かし、口全体で愛撫してくる。

祐一 「…痛っ!」
栞 「えっ!?」

やはり慣れていないせいか、栞の歯が俺のそれに当たって、痛みを覚えた。
慌てて腰を引き、栞の口から逃げ出した。

栞 「す、すみませんっ」

栞は、真っ赤な顔で俺を仰ぎ見る。

祐一 「歯があたると痛いから、気をつけて」
祐一 「…も、もっと続けてくれるか、栞…?」

栞 「はい」

栞は、ちょっと熱っぽい表情をのぞかせ、腰を引いた俺のほうに身を乗り出す。

女の子は、興奮すると瞳が潤むって、なにかで聞いたことがあった。
こんな行為をするのだから、栞も、平静ではいられないのだろう。

指と口を上下に動かしながら、舌で、俺のそれをねぶるように愛してくれる。

…栞…栞…栞…。

頑張って愛撫を施してくれる栞の頭に、俺は手を当てる。

そうして、栞の髪をゆるやかに撫でる。
栞の愛撫に応え…それがどれだけ、俺の心を動かしているかを示すように、栞の髪を撫で回す。

…あまりの快感に、俺は呻いた。
あの栞が、俺の股の間に割り込んで、指と口と舌でもって奉仕してくれている。

小さくて、可愛くて、綺麗で。
明るくて、はっきりとした性格で、ちょっとわがままで、俺を困らせるのが好きな栞。

悪戯っぽくおどけて微笑むのが好きなあの少女が、俺のそれをしゃぶっている。

普段とのギャップがものすごくて、目が眩むような思いだった。

祐一 「軽く、吸ってみてくれるか…?」

俺がそう言うと、栞の口の中がすぼまる感触。
ついで、強い快感が、俺の腰にむずむずと襲いかかってきた。

…やばい。

栞 「…んぐっ」

ふと、栞が小さな音を立てて、唾を飲み込む様子が見えた。
俺のものを舐めあげて生まれた唾液を、健気に飲み込んだ。

…可愛い。栞は、なんて可愛いのだろう。

胸を締めつけられる感情と、栞が再び吸うのとが一緒になって、耐え難い快感がやってきた。

…駄目だ、限界だ。

俺は、そろそろ臨界点を迎えることを自覚した。

祐一 「…し、栞…そろそろ…出そうだ…」

俺が喘ぐように言うと、栞は口を動かしながら、俺のことを見上げてくる。

そんな様子が、まるで栞を苛めているようにうつって、罪悪感を覚えた。
それと同時に、誰よりも大切な女の子から奉仕を受けていることに、心地よい満足感を覚えてしまう。

最高の快感がにじり寄ってくることを感じつつ、それに酔いかけていた俺は、ふと思い当たって我に返った。

…ど、どこに出すっ!?

ティッシュの箱は、ここから手の届かない位置にあった。

祐一 「そろそろ出るから、離れてくれ」

そんな俺の言葉に、栞は目元で微笑んでみせた。
そして、いままで以上に強く深く、俺のものをくわえ込む。

…くううううううううっ。

祐一 「…し、栞…いいのか…口の中に…?」

それでも栞は離れず、より一層、俺への愛撫を強くする。

…そうか…いいのか…。

栞の想いを感じられて、胸がいっぱいになった。
そしてそれが、俺の快感をさらに押し上げる。

俺のものを一心不乱に愛撫してくる栞の頭を、俺はそっと抱え込む。

祐一 「…し、栞っ…!」

…栞、愛してる…愛してるんだ…。
俺は、栞の想いに感動しつつ、快楽に身を委ねた。

臨界点を迎えて、俺の中から関を切ったようにソレが飛び出していく。

栞 「…ん、んんっ…!?」

栞はそれを、その小さな口で受け止めた。

…あぁ…。

栞の口の中いっぱいに、注ぎ込んでいく。

祐一 「…栞…ありがとう」

俺は快感の余韻に浸りつつ、健気な栞の髪を、愛でるように撫で回した。



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